本研究は、1歳児を対象に「実験者不在パラダイム」を適用し、共同注意場面での他者の情動表出が子どもによる他者の経験知の理解に果たす役割を検討しようとするものである。研究初年度の本年度(平成22年度)では、研究開始準備を整え、早稲田大学の「人を対象とする研究に関する倫理審査委員会」から実施承認を得て、パイロット実験を経て本実験に着手するという計画を交付申請書に記載した。この計画を以下のように実施した。 1.研究開始準備実験で使用する器材を購入し、実験時に使用する3種類の玩具を作製した。実験場面での2名の実験者の行動を決定し、自然でかつ定型的な振舞いができるように訓練した。研究参加を呼びかけるポスターとチラシを作成し、幼稚園や保育園、保健センターなど母親が集まりやすい箇所に対して公募依頼を行った。また現在、近隣の区役所の保育課に対して、公立保育園への公募情報提供が可能になるよう依頼中である。幼児が実験に参加するため、万が一の事故対策用に、実験に参加する子どもに対して普通傷害保険契約を東京海上日動火災保険会社との間で結んだ。 2.倫理審査委員会への研究実施申請2010年12月10日に、本研究に関する倫理審査申請書を「人を対象とする研究に関する倫理審査委員会」に提出し、2011年2月8日付で実施承認を得た。 3.実験実施上記の実施承認を経て、早稲田大学文学学術院36号館赤松記念室4においてパイロット実験を実施し、現在本実験に着手している。3月11日の大地震と原発事故の影響で一時実験への参加協力が途切れたが、再び参加者が現れており、この災害が終息に向かえば実験の継続は可能だと考えられる。
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