研究課題/領域番号 |
22530687
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
秋山 学 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (10252743)
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研究分担者 |
清水 寛之 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (30202112)
長谷川 千洋 神戸学院大学, 人文学部, 准教授 (80551390)
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キーワード | 消費行動 / 認知科学 / 自伝的記憶 / レミニセンス・バンプ / Iowa Gambling Task / 報酬形態 / 皮膚コンダクタンス反応 / 価値割引 |
研究概要 |
本研究では、財の購入への準備から購入、そして入手した財の消費プロセスを支える認知科学的基盤の理解を深めることを目指し、1)買い物行動の自伝的記憶としての特性、および、2) Iowa Gambling Task(IGT)による報酬系機能に関する検討を行った。前者に関しては,若齢者および高齢者における購買に関する自伝的記憶の特性を,記憶特性質問紙(MCQ)などを用いて検討した。2011年度においては,高齢者が想起した購買に関する出来事の想起において独自な時間的分布が示され,従来の自伝的記憶研究で見いだされてきたレミニセンス・バンプの消失が示唆されることを日本認知心理学会において発表を行った。 後者に関しては,報酬系機能の認知神経科学研究や神経心理学研究で活用されるIGTを用い,課題遂行成績および課題遂行時の皮膚コンダクタンス反応などの生理学的指標からの検討を行った。2011年度においては,昨年度に続き,報酬形態の差異(貨幣(現金)・疑似貨幣)および遂行結果と最終的な実験参加者の報酬との随伴関係を操作し、IGT遂行過程およびIGT遂行に伴うSCRとの関連について検討を行った。不利なカード選択時に皮膚コンダクタンス反応が高まる傾向は疑似貨幣条件の試行後半に明確に見られることが示唆されるとともに,課題遂行結果に報酬が連動する場合に疑似貨幣条件において不利なカードを選択する傾向が高かった。これらの結果は疑似貨幣を用いることによりギャンブル性が高まる傾向を示唆した。また,IGTによる報酬系機能に関する研究を補完するため,ポイント(Reward Point)という代替貨幣に関する主観的価値の推定に関する検討を行った。2011年度においては,ポイントを現金に交換する場合と,現金をポイントに交換する場合では1ポイントあたりの価値割引が異なることをSPUDM2011において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
買い物行動の自伝的記憶としての特性に関しては,概ね順調に研究が進捗し,学会誌への投稿も完了したが,Iowa Gambling Task(IGT)による報酬系機能に関する検討に関しては,研究手続きの見直しなどを行ったため,実験実施が遅れてしまった。しかし,2011年度末より新たな実験に着手することができ,研究進捗の遅延は十分に取り戻せると考えている。また,IGTによる報酬系機能に関する研究を補完するため,ポイント(Reward Point)という代替貨幣に関する主観的価値の推定に関する検討に関しては着実に研究知見が積み重なっており,国際学会においても多くの参加者との意見交換や今後の研究へ期待を寄せられている。
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今後の研究の推進方策 |
買い物行動の自伝的記憶としての特性に関しては,概ね順調に研究が進捗し,学会誌への投稿も完了しており,論文審査が円滑に進行するよう努力していきたい。Iowa Gambling Task(IGT)による報酬系機能に関する検討に関しては,昨年度までの実験手続きの不備を克服する新たな実験条件の設定や実験環境の整備を行い,新しい実験に着手している。ポイント(Reward Point)という代替貨幣に関する主観的価値の推定に関する検討に関しては,遅延価値割引との関連についても検討を始めているとともに,海外学術誌への投稿準備を進めていきたい。
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