研究課題/領域番号 |
22530688
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研究機関 | 天理大学 |
研究代表者 |
島田 拓司 天理大学, 国際学部, 教授 (70269504)
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キーワード | 弁明コミュニケーション / 日米比較 / 文献研究 / 対人葛藤 / 戦略的葛藤モデル |
研究概要 |
本研究の目的は、弁明コミュニケーション過程の解明であり、特に、弁明方略の規定因としての状況要因や関係性要因の他に文化差に焦点を当て、弁明行為の一連の流れを解明することであった。 平成23年度は、前年度に実施した日米大学生の日常的な弁明行動についての質問紙調査の分析と結果を論文にまとめる作業を中心に研究活動を行った。具体的には、分析結果の一部を「弁明プロセスの日常体験:日米大学生への質問紙調査から」という論文にまとめ、6月に開催された日本コミュニケーション学会年次大会で口頭発表し、さらにその内容を加筆訂正して、"A Cross-Cultural Comparison of Everyday Account-Giving Situation Between Japanese and American Students"という論文にまとめ、本年2月米国アルバカーキ市で開催されたWestern States Communication Associationで口頭発表した。これら2本の論文は、発表時に査読者から指摘されたコメントを基に修正を施し、学会誌等に投稿する予定である。 この作業と平行して、本年5月に米国フェニソクス市で開催されるInternational Communication Associationで口頭発表を行うための文献研究を行った。この研究は、弁明行為を対人葛藤場面で用いられる葛藤管理戦術として捉え直したものである。対人葛藤研究の分野で蓄積された知見をCanaryが提唱した「戦略的葛藤モデル」の構成要因に振り分けて整理することで、これまで指摘されてきた日米間の弁明方略の相違についてのより論理的な説明が可能になった。例えば、日本人が謝罪や弁解すべき状況下で、米国人の正当化が容認されるのはなぜか等のより詳細で論理的な説明が可能になり、本研究に新たな視点を加えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一昨年度に学内で担当者事故による不測の事態が発生し、それに伴う人事変更によって、学内業務が急激に増加したため。
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今後の研究の推進方策 |
本年の前半は、昨年学会で口頭発表した論文を修正作業と分析対象としなかった残りのデータ分析と結果を論文にまとめる作業を中心に行い、9月に再度渡米して予定していた弁明効果についての質問紙調査を実施する。収集したデータ分析を秋に行い、冬から春にかけて論文としてまとめる予定である。
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