本研究の目的は、弁明コミュニケーション過程の解明であり、特に、弁明方略の規定因としての状況要因や関係性要因の他に、文化差に焦点を当て、弁明行為の一連の流れを解明することであった。 最終年度である平成24年度は、口頭発表とデータ収集に注力した。まず、平成23年度に取り組んだ対人葛藤状況における弁明コミュニケーションの日米比較調査結果の一部を5月にアリゾナ州で開催された国際コミュニケーション学会で口頭発表した。さらに、9月にルイジアナ大学コミュニケーション学科を訪問し、研究協力者のタムリング博士とともに、”An Intercultural Study of Reactions to Negative Personal Events”という質問紙調査を実施した。この質問紙調査は、北イリノイ大学のスカダー博士の協力を得て、10月から12月にSurveyMonkeyというツールを使って、オンラインアンケート調査も行い、結果に米国の地域性が反映されないようにした。今後は、収集したデータを分析して論文にまとめ、学会発表、論文投稿につなげる予定。 論文執筆については、平成22年に実施した日米比較調査で得たデータの一部を分析し、"Everyday Experience of Account-Making Process among Japanese and American Students: The Effects of Offense Severity and Reproach on Accounts"という論文にまとめ、全米コミュニケーション学会年次大会にて口頭発表申請を行った。また、同時に6月に開催される日本コミュニケーション学会に「日米大学生による弁明プロセスの日常体験:弁明行為とその効果」として口頭発表する予定である。これらの論文も発表後、適切な学会誌に投稿する予定である。
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