研究課題/領域番号 |
22530690
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研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
矢野 伸裕 科学警察研究所, 交通科学部, 主任研究官 (30356224)
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キーワード | 交通規則 / 受容意識 / 規範 / 交通規制 / 社会心理学 / 交通心理学 |
研究概要 |
平成22年度から実施している大学生を対象とした質問紙調査の結果を分析し、交通規則に対する重要度評定を交通モード間(自動車運転、自転車運転、歩行)で比較し、交通モードが重要度判断に与える影響について検討した。全体的には、自動車モードの規則は対応する自転車・歩行モードの規則と比べて重要度がより高く評定され、道路交通の規範としてより受容され、遵守が期待されていることが明らかにされた。また、交通モードによる差が見られない交通規則の場合は、'水をかけない''走行中の投げ捨て禁止'など、一般的な規範や社会的規則としての側面が重要度の判断に影響していることが示された。以上のことから、交通規則に対する評価・態度は複層的位相的であることが示唆された。 平成23年度の作業としては、まず、前年度の質問紙調査や予備調査、既存研究のレヴューに基づいて、交通規則(ルール)を評定するための11の評定項目を抽出した。これらの評定項目は、遵守意図、規則の重要度、他者遵守度、違反の悪質さ、違反の危険性、違反によるメリット、などであった。これらの評定項目を用いて、53種の交通規則(自動車運転モード26種、自転車運転モード19種、歩行モード8種)を評定する質問票を作成し、WEB調査の手法で質問紙調査を実施し、約600名から回答を得た。今後の研究の展開としては、この多変量データの分析によって、交通規則が持つ特性と道路利用者の認知・態度、受容意識等との関連構造を明らかにし、道路利用者に受容されやすい交通規則の設定・運用手法を提案する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の質問紙調査によって、既存研究では見られない、多くの評定項目と多くの評定対象(交通規則)が含まれたかなり大きな規模の多変量データを収集し、これまでの研究では試みられなかった新たな視点の分析に着手する準備が整った。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に実施した質問紙調査の結果に対し多変量解析の手法を組み合わせた多面的な分析を実施していくため、社会調査データの統計分析に精通した専門家の意見を求め積極的に活用していく。
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