研究課題
基盤研究(C)
目的・内容本研究の目的は、自閉症スペクトラム障害(Autistic Spectrum Disorder;ASD)の症状の認知基盤について、健常同胞まで含めて明らかにすることである。具体的には、情報体制化の観点から「入力・保持・出力」の各処理段階にわけ、以下の認知処理について調べることを目的としている。入力:情報の即時的体制化保持:保持情報(知識)の構造化出力:体制化能力を反映する言語行動平成23年年度は、上記の出力段階に着目し、まずASDの対照群として、健常児の全称量化表現運用について実験研究を行った。結果4~6歳の健常児を対象に、語彙発達課題と全称量化表現理解課題を施行した。全称量化表現課題の達成度について、語彙発達高・中高・中低・低群に分け調べたところ、語彙高・中高群と低群との間に差がみられた。この結果は、全称量化表現に認知・論理能力は必須だが、文法・語彙的理解がより重要であることを示唆する。しかし一方で、自閉性障害児に特有だと考えられている数量指示応答が、本研究の健常児においてかなりの頻度で観察された。このことから、全称量化表現理解の達成には、注意の制御や、計数能力の発達も深く関与していると推察された。意義本年度の実験研究により、住吉(200*)らの研究で報告された発達障害児における「数量指示応答」が、認知機能の障害によるのではない可能性が示された。また全称量化表現が語彙発達と関連することが分かり、今後、発達障害児における全称量化表現理解を調べる上で、有効な言語発達指標が得られたと考える。
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