研究課題/領域番号 |
22530704
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
湯澤 正通 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (10253238)
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研究分担者 |
湯澤 美紀 ノートルダム清心女子大学, 人間生活学部, 准教授 (80335637)
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キーワード | 教育系心理学 / 日本語 / 英語 / 音韻認識 / ワーキングメモリ / 幼児 |
研究概要 |
本研究の目的は,「英語音声の個々の音韻を認識することに優れているが,音声全体の反復が苦手である」という日本人幼児・児童の音韻処理のメカニズムを,日本語の語彙知識および音韻認識の発達との関係から解明することである。昨年度までの研究成果から,日本語母語幼児や日本語母語大学生が,日本語のモーラのリズムで英単語の音声を分節化していることが示唆された。そこで,本年度は,英語母語話者や中国語母語話者が,日本語母語話者と異なり,英単語を音節またはそれより大きな単位で分節化していることを検証した。英語母語話者の大学生と中国語母語話者の大学生を対象に,音韻構造の異なる5つの英単語(CVC:hub,CVCVC:heady,CVCC:hidden,CVCVC:hubbub,CVCCC:maddens)を用いた記憶スパン課題を行い,日本語母語話者のそれと比較を行った。英語母語話者や中国語母語話者の反応をボイスレコーダーに録音し,それを分析したところ,音韻構造の違いにかかわらず,記憶スパンや反応時間に違いが見られなかった。英語母語話者や中国語母語話者が2音節までの単語を一つのまとまりとして知覚していることが示唆された。また,それが日本語母語話者との違いであり,2音節の英単語を細かく分節化することが,日本語母語話者における英語音声の聞き取りの難しさの原因であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究成果から,日本語母語話者は,幼児から児童にかけて,モーラのリズムによる音声知覚が強化される一方,日本語母語話者は,英語の音声をモーラのリズムで分節化し,それは,幼児期以前から生じていること,それは,英語母語話者による音声知覚と異なっていることが示唆されている。
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今後の研究の推進方策 |
日本語母語話者は,幼児から児童にかけて,モーラのリズムによる音声知覚が強化されることが示唆されたが,いつごろからどのように英語の学習を始めると,英単語の音声を英語母語話者のように分節化することができるようになるのかを検討する。
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