• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

発達障害児の児童-思春期発達移行における心理社会的適応支援のあり方に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22530707
研究機関九州大学

研究代表者

遠矢 浩一  九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (50242467)

キーワード発達障害 / 集団心理療法 / 適応
研究概要

平成23年度は、発達障害を有する児童のために実施された集団心理療法に過去参加した経験のある児童について、その予後を分析するために追跡調査を実施した。集団心理療法在籍1年以上の経験のある発達障害児・者を対象に、WISC-III、CBCLによる検査を実施すると同時に、半構造化面接によって、現在の学校・職場への適応状況、友人関係/対人関係の状況、家庭での状況、セラピストに対する印象形成、集団心理療法に対する目的意識など、:多面的な面接調査を実施した。その結果、集団心理療法参加後も言語性能力-非言語性能力の領域間ギャップについては未だ残存しているものの、学校適応・職場適応に関する評価指標から見ると、不適応度が相対的に低く、知能水準における領域間乖離を有しながらも社会適応においては良好な調整が行われていることが明らかとなった。そうした背景として集団心理療法に参加していた当初、児童自身は、心理療法の目的として「コミュニケーションの勉強」、「協調性のため」など、社会的場面での対人関係トレーニングとしての認識を保ちつつ、参加していたことが示唆された。こうした目的意識が現在の社会適応の良好さに関連していることが推察された。また、集団心理療法参加に対する印象として、楽しかった場、友だちと関われる場として肯定的な捉えがなされていることも示された。これらのことから、集団心理療法の場は、社会的トレーニングの機能を持ちながらも、対人関係の体験の場としての居場所機能を保つことが重要であり、その中で結果として将来の社会適応につながるようなスキル学習的機能を有することが重要であることが考察された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

発達障害者の適応状況についての縦断的検討を実施できている点でおおむね順調と考えられた。

今後の研究の推進方策

今後、集団心理療怯および個別心理療法等の実施のあり方と適応度、友人関係認識等について追跡調査を実施することによって、児童期・思春期から青年期に至る過程で必要となる心理・発達支援のあり方について検討を加えていく予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 発達障害児のための集団心理療法「もくもくグループの検討(1)-CBCLによる子どもの行動特徴の縦断的検討-2011

    • 著者名/発表者名
      田中沙来人・小澤永治・吉川桃子・座間味愛理・遠矢浩一・針塚進
    • 学会等名
      第30回日本心理臨床学会
    • 発表場所
      福岡国際センター
    • 年月日
      2011-09-04
  • [学会発表] 発達障害児のための集団心理療法「もくもくグループの検討(2)-WISC-IIIによる子どもの認知的発達の縦断的検討-2011

    • 著者名/発表者名
      小澤永治・田中沙来人・吉川桃子・座間味愛理・遠矢浩一・針塚進
    • 学会等名
      第30回日本心理臨床学会
    • 発表場所
      福岡国際センター
    • 年月日
      2011-09-04
  • [学会発表] 発達障害児のための集団心理療法「もくもくグループの検討(3)-卒業生を対象とした抑うつ傾向・適応感の追跡調査から-2011

    • 著者名/発表者名
      座間味愛理・小澤永治・田中沙来人・吉川桃子・遠矢浩一・針塚進
    • 学会等名
      第30回日本心理臨床学会
    • 発表場所
      福岡国際センター
    • 年月日
      2011-09-04

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi