研究課題/領域番号 |
22530710
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
神園 幸郎 琉球大学, 教育学部, 教授 (70149334)
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キーワード | 広汎性発達障害 / いじめ / 被害関係念慮 / 攻撃衝動 / 破壊衝動 / 二次障害 / 教科単元 |
研究概要 |
本年度は前年度に引き続き広汎性発達障害児に対する「いじめ」の前方視的観察を行った。前年度に「いじめ」が発覚し、被害関係念慮や攻撃・破壊衝動を持つに至った事例について、いじめの発生と様態、教師及び学校側の対処方法、保護者の対応、いじめの様態の変容過程、二次障害の発生等について行動観察や教師および保護者への聞き取り調査を行った。また、今年度に入り新たに「いじめ」の事実が確認された4年生の事例についても同様な調査を行った。その結果、「いじめ」の事実を早期に発見し、学校を挙げて対処できれば二次障害を来す可能性は低くなることが示唆された。早期に適切な対処がなされるためには、担任教師はもとより校長や教頭そして、とりわけ特別支援教育コーディネーターの役割が重要であることが明らかになった。コーディネーターは「いじめ」問題を校内委員会において全校の問題として取り上げ、対処法を含めた解決方法を模索すべきであることが示唆された。広汎性発達障害のある児童にとって日々の授業における教科や単元の内容が、彼らの障害特性のために全体性をぬきに特定の部分だけが突出し、それに対して強迫的なこだわりが生じると、図らずも攻撃や破壊衝動に繋がってしまうことがある。そこで、本年度は広汎性発達障害の障害特性に照らして負の影響を及ぼす可能性があると思われる教科内容や単元について小学校の教師を対象に質問紙調査を行うための予備調査を行った。小学校の教育課程における各教科、道徳、そして特別活動のそれぞれについて単元ごとの質問項目を選定中である。次年度の調査実施に向けて準備を整えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
広汎性発達障害児に対する「いじめ」の前方視的観察、担任教師及び関係者に対する聞き取り調査、そして小学校の各学年における教科内容や単元の調査について、予定通り順調に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の予備調査に基づいて、小学校の教育課程における各教科、道徳、特別活動のそれぞれについて広汎性発達障害の障害特性に照らして問題となる単元や教科内容について本調査を行う。また、犯罪などの不良行為をしたり、もしくはするおそれがある児童などが入所している児童自立支援施設を対象に広汎性発達障害と少年非行との関係や少年非行や犯罪の抑止について質問紙調査をする予定である。
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