研究課題/領域番号 |
22530711
|
研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
須田 治 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (50132098)
|
研究分担者 |
本郷 一夫 東北大学, 教育学研究科, 教授 (30173652)
|
キーワード | 情動的やりとり / 感情体験 / アスペルガー障害 / 青年・成人 / 発達支援 / 発達障害 / 感情・情動療法 / 高機能広汎性発達障害 |
研究概要 |
第一の課題は、アスペルガー症候群の青年・成人にたいする心理学的研究の少ないことに対して、情動発達の側面についての貢献をすることにある。この障害の機序解明はいまだに進んでいない。検討が望まれている一つの問題は、感情としての表象化に何らかの支障はあるのかないのか、を明らかにすることである。これは、脳科学的な側面からの研究からも、オキシトシン分泌をとらえるなかで課題とされてきた点である。本研究では、平成22年度は、台本に基づき表現される感情的な人間関係について、障害当事者の反応を検討するための方法を検討することがなされていった。 彼らは不安や困難の問題を各ケースごとに異なる状態を持っているため、事例研究として進めざるをえない。また科学的実証と発達支援とを分けることができない。一事例ずつ、他者の感情理解における困難を記述し、個々に必要な助言をすすめている。対象者は、個人史などのデータを取ってきた10人あまりのケースであり、PTSD的な痛手のあるばあいには支援を優先して結果をえている。現時点では、1セットの一連の物語の台本で、各当事者の対応とコミュニケーションのデータを得た。 第二の課題は、幼児たちに向けての研究でつぎの結果を得た。1つは、保育所においていわゆる「気になる」子どもの発達特徴、とりわけ情動統制を含む社会性の諸側面と運動調整との関連について検討した。その結果、「気になる」子どもは、認知、言語の発達に比べて対成人の社会性と運動発達の側面に困難さを抱えていることが明らかになった。また9つの保育所における集団遊び場面を観察し、アスペルガー等の特徴をもつ子どもがどのように情動を立て直すのかについて検討した。
|