本研究は、教職志望者の「チーム援助」の志向性(児童生徒の指導・援助場面で積極的にチーム援助を実践しようとする態度)と遂行能力(チーム援助を効果的に遂行するために必要な能力)を高めるプログラム開発を目的としている。具体的には、(1)「チーム援助志向性尺度」および「チーム援助遂行能力測定尺度」を作成し、その因子構造を明らかにする。そして、(2)「ケース・メソッド」と呼ばれる手法を用いて、「チーム援助」の志向性と遂行能力を高める授業を行い、その効果を検証する。 研究初年度の本年は、「チーム援助志向性尺度」及び「チーム援助遂行能力測定尺度」の質問項目作りの参考にするために、「チーム援助」を熱心に実践しているスクールカウンセラー、現職教員、また、チーム援助に関心の高い指導主事を対象に、半構造化面接調査を行った。主なインタビュー内容は、以下の通りであった。(1)「チーム援助」の実践前に関する質問:チーム援助を効果的に進めるために教師に必要な「アセスメント能力」とはどのようなものか。チーム援助を行う前に必ずしなければいけない「準備」とは何か。連携やチーム援助を拒否する教師と具体的にどのように連携を進めていくか。(2)「チーム援助」の実践に関する質問:チーム援助を実践する上でチームの成員としての教師に必要な能力とは、具体的にどのようなものか。(3)「チーム援助」の実践後に関する質問:自分が実践した「チーム援助」を、具体的にどのような方法で自己評価して改善につなげているか。 現在、インタビュー調査内容をテキスト化して、質的分析を進めているところである。また、インタビュー調査のデータを基に「チーム援助志向性尺度」及び「チーム援助遂行能力測定尺度」の質問項目を整理して、尺度の原案を作成しているところである。
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