学生の持つ身近な情報ツール(携帯電話、スマートフォン、PC)を学生相談に活用するための基礎的研究の最終年度として、過年度に行った文献調査、ニーズ調査を基にして「メール相談システム」を組み、実際に運用することを通して研究を行った。つまり、この研究は、研究活動であると同時に学生相談活動でもあり、常にこの二面性を意識しながら研究を遂行した。 学生に対する「メール相談」開始の周知は、2011年10月の後期ガイダンス、2012年4月の前期ガイダンス時にチラシを配布すると同時に、学内の主要な掲示板にポスターを掲示して行った。ポスターにはQRコードを印刷した小型のチラシを添付し、必要に応じて学生が持ち帰り利用できるように配慮した。また、本格運用を開始した2012年4月からは専用ホームページを大学サーバ上に開設し、ネットからアクセスできるようにした。HP上には、相談者が安心して相談できるように教員2名(研究代表者と研究分担者)の簡単なプロフィールと、本学臨床心理学専攻の大学院生が協力することを明記した。また、返信メールには、必ず2名の教員どちらかの名前を回答者として記した。 この相談システムは、当初、1年間の期間限定運用としてスタートした。しかし、相談継続中に打ち切ることは難しいため、半年間期間を延長し、2013年3月末まで活動を続けた。相談内容は、学業、卒業後の進路、友人関係、恋愛、家族関係等を予測していたが、それ以外の相談もあった。ペットに関わるトラブル、犯罪被害(恐喝)などがその例であり、他にも対面的相談ではあまり見受けない軽微な困りごとに関するものがあった。これらのことから、メール相談には独自の意義があることが明らかになった。また、返信メールでは、1)文字数、2)文体、3)返信までの時間間隔、4)事実確認の質問、という4つがとくに留意すべき重要な要因であることがわかった。
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