不研究では、幼児の食事のスクリプトの形成とその要因を明らかにするために、母子のままごと遊びおよび家族での食事場面における協同行為を短期縦断的に撮影・観察し、分析をおこなった。観察対象者は、母子の家庭におけるままごと遊び道具を介した相互行為の撮影および食事場面の撮影への協力を了承した、母子9組みであった。観察は生後12ヶ月から開始して、3ヶ月毎に対象者の家庭を訪問し、30分間の観察をおこなうと同時に、観察日の前後の協力者が選んだ日時に、家族との食事場面の撮影を依頼した。そのほかに、面接調査をとおして家庭環境および子どものしつけや食事に関する親の方針などについて、資料を収集した。そのほかに、18ヶ月時には発達検査KIDSを実施した。 研究協力者の月例に合わせて資料収集をおこなっているため、初年次の昨年度はまだほとんど資料が出揃わず、数量的分析にのる状況ではなかったが、トランスクリプションから、12ヶ月時点から18ヶ月時点の間でままごと遊びにおける芋どもの発話数は格段に増大し、母親の発話への応答および食事もしくは調理にかかわる行為の出現は多くなった。それに応じて母親のことばかけの出現頻度も多くなったが、発話内容の質的な変化はそれほど大きいとは言えなかった。食事については、い初より固形食{離乳食}の摂取は始まっていたが、月例の変化とともに食事の内容は家族の食事の一部を分けられるなどおとなに近くなり、食事行為の自立性も高くなっていった。
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