研究課題/領域番号 |
22530718
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研究機関 | 文京学院大学 |
研究代表者 |
上村 佳世子 文京学院大学, 人間学部, 教授 (70213395)
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研究分担者 |
吉澤 千夏 上越教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (10352593)
加須屋 裕子 文京学院大学, 人間学部, 教授 (60296291)
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キーワード | 共同行為 / スクリプト / 幼児 / 食事 / ままごと遊び |
研究概要 |
ままごと遊びにおける幼児の食事行為とそれにかかわるスクリプトがどのように発達するか、さらに母親や家族は食事や遊びの共同行為場面において、子どもに何を学習させどのような援助をするのかを明らかにすることを目的とした。具体的には、(1)家族との共同行為をとおして、幼児はどのような食事行為や概念を形成していくのか、(2)主たる養育者がどのような援助やことばかけをし、どのような道具(食器や家具など)を使用するのか、(3)養育者自身がどのような食事概念をもち、子どもにスクリプトを習得させようとするのかを、家族との食事やままごと遊び場面での発話や、食事にかかわる絵本読みおよび調理場面における語りから検討した。 家庭訪問をおこない、ままごと遊び用おもちゃを介して母子で約15分間自由に遊んでもらい、VTR撮影をおこなうと同時に、家庭訪問日の前後に対象家族に依頼して日常的な食事場面を撮影してもらった。この他に基礎資料として、家族構成とそれぞれの年齢、普段の食事の取り方など、対象児の食事にかかわる資料について、母親を対象として調査をおこなった。以上の資料のなかから、本年度は対象児が18,21,24ヶ月齢時点のままごと遊び場面の観察資料について分析をおこなった。 その結果、(l)いずれの場面も母子共同で構成されているが、母親の主導性は実際の食事場面のほうが高く、危険回避にかかわるルールやしつけの慣習に縛られて相互行為が進行する傾向が強かった。(2)24ヶ月齢になると子どものことばによる応答が急激に増加し、ひとつの話題における会話交代の回数が増加した。(3)ままごと遊び場面は、食事場面で展開する相互行為を対照して展開され、食事場面のスクリプト、食事内容のイメージ化(「○○ちゃんの好きなリンゴジュース」、「昨日のフルーツヨーグルト」など)、役割交代という構成遊びの要素が最初は母親主導で展開し、月齢とともに子どもの意思の関与の比率が上がっていった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究開始時において生後12ヶ月時を迎える研究協力者で、3ヶ月ごとの家庭訪問による観察調査に経常的に協力を承諾してくれる母子を見つけることが困難であった。結果的に、一斉に開始するのでなく、12ヶ月月齢に達するのを待って実施していったため。
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今後の研究の推進方策 |
母親に対して子どもの食事行為およびそのしつけに関する面接調査をおこなっていき、テキストマイニングを使用してその構造を明らかにするとともに、食事およびままごと遊び場面との対応について見当していく。
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