本研究は、平成18年度から平成20年度にかけて保育園の0歳児クラスの子どもたちの行動特徴を観察し、保育園で育つ子どもの行動特徴の変化を検討してきたものを基礎として、同一の子どもの4歳と5歳時点での対人行動を観察し、発達初期の行動特徴との関連を検討することを目的としている。 視線行動、接触行動などの行動特徴が、4歳、5歳での保育園での遊び方や仲間とのかかわり方とどのように関係するのかを検討すると同時に、どのような行動特徴が安定しやすいのか、あるいは変化しやすいのか、また、変化する場合はその要因は何かを見出し、行動発達の複雑なプロセスに関する仮説を提起したい。 本年度は、補助金交付決定が年度後半であったため、主に観察データの収集を中心に行った。 週1回、観察対象児が所属する保育園に通い、4歳児クラスに所属している園児10名の行動を、自由遊びの時間に観察し仲間とのかかわり方などをビデオカメラで撮影した。 行動分析は、遊びの種類、仲間への働きかけ、保育士への働きかけ、発話回数、表情など、行動面と感情面の両面からカテゴリーを設定して行った。本格的な分析は次年度から進める。 あわせて、月1回、保育士への面接調査を実施した。調査内容としては、子どもの発達評価、子どもに関して気がついた特徴的な行動などである。 また、本研究は縦断研究であるため、観察対象児の観察データがある程度蓄積された時点で分析し、その結果を随時論文としてまとめている。本年度は、観察対象児の2歳から3歳にかけての分析結果を外国の雑誌に投稿した。来年度は、3歳から4歳にかけての分析結果を幼児関連の国際学会に発表する予定である。
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