研究概要 |
本研究は、平成18年度から20年度の保育園における1,2歳代の乳幼児の行動に対して開発された個人差指標をもとに、それらの特徴が4、5歳時の自由遊びでの接近行動などの対人行動とどう関連するのかを検討することで、幼児期初期の行動特徴は変化するのか、また、変化する場合はその要因は何かを見出し、行動発達の複雑なプロセスに関する仮説を提起することが最終年度の目的であった。 結果として、子どもの1歳半ころの行動、特に視線の向く先など個人差が表れ始め、3歳ころの保育士の対応が、子どもの仲間内での関係を作り始め、この関係は、5歳児クラスまで継続する様子が見られた。5歳児クラスでは、仲間間の関係が安定する一方で、3歳児クラスのころから仲間との社会的な交渉がうまくない子どもはそのままその行動が継続するという状況が生まれていた。 このように、子どものもつ行動特徴と保育士との相互交渉により3歳前後で仲間への対人行動における個人差が形成されることが示唆された。 平成24年度は、1歳児、2歳児クラスの分析と4,5歳児での行動分析を行い、これらの研究成果を国際心理学会(ICP)で発表した(Sagara & Murata,2012)。また、国内でも日本心理学会で成果を発表した(村田・相良, 2012)。なお、今年度、2歳代の子どもの行動観察についての成果が海外の専門雑誌に掲載された(Sagara, Murata, and Yamano, 2012)。今後も得られた成果について、内外の雑誌や学会で発表していく予定である。
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