研究概要 |
2010年度は、中学校現場に入り不登校に対する検討会に参加した。ここでは、学校教員とともに、不登校についての生徒理解を行うと同時に、具体的な対応について話し合いを継続的に実施した。 また、不登校経験者が多く進学する定時制高校を対象に、アンケート調査を実施した。その結果、中学校でも休まずに登校していた生徒の適応は,高校入学後も比較的良好であるが,とくに友だちとの関係において,不登校経験者の不適応が見られた。不登校になる子どもたちの中には,コミュニケーションが苦手であったり対人不安が強かったりという特性を抱えたものも多く,高校入学後もその特性を引きずっている生徒もいることが示唆された。他方,抑うつ感は,中学校時に完全欠席していたものに,とくに強く見られた。ほとんど登校することができない生徒の中には,人間関係での苦手意識だけでなく,抑うつ感のような精神的ダメージを伴うものも多いことがうかがえる。中学校時の不登校の状況によって,比較的軽い不登校については,人との関係を築くような練習(ソーシャルスキルトレーニングやアサーショントレーニング,グループエンカウンターなど)が有効に作用する可能性がうかがえるが,完全にひきこもっていた不登校経験者に対しては,心理的・精神的ケアが継続的に必要な生徒もいると思われる。生徒の状況にあった学校復帰・学校適応のための支援方法を見極めることの重要性が確認された。 この結果をさらに検証するために、2011年度は調査校をチャレンジ校や商業科高校にも広げて実施する予定である。
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