昨今、不登校を受け入れる新しいタイプの高等学校やそれに準ずる学校が急増しており、中学校で不登校を経験したものの進路は多様化しつつある。しかし、この不登校経験者の多様な進学先における予後については調査実施の難しさもあり、大規模な調査は十分には行われていない。そこで本研究では、中学校卒業後の進学先として選ばれることが多い定時制高校・通信制高校を対象に、高等学校における不登校や中途退学の実態について明らかにすると同時に、不登校児童生徒への支援機関において通室生を対象とした調査より、不登校経験者の社会的自立に向けて必要な支援について検討した。 不登校経験者の「予後」や、不登校を支援する専門機関での対応に焦点づけて、不登校経験者が多く通う通信制高校で大規模調査を実施した。その結果、不登校を経験した生徒たちの予後が、まだ完全に安心できない状況ではあるものの、その生徒が自分にあった高校につながった場合には、自分の過去を受け入れ、さらには未来にも明るい展望を持つことができているという現状を確認することができた。 また不登校の通所施設(T学園)対象の調査からは、学校に対して拒否的な感情や傷つきを抱える子どもたちが多く、学校からの登校刺激に対しても否定的な反応を示すケースが多いことがわかった。また、抑うつ感も部分的に高めの傾向があり、通室状況も安定しない児童生徒が少なくないことがわかった。適応指導教室は公立学校との連携が取りやすく、在籍学校経由で通室に至るケースがほとんどであるが、T学園に通う子どもたちの中には、地域の適応指導教室に合わず、重症化・長期化した不登校ケースも含まれるであろうし、在籍校との連携が難しいケースも少なくない。「不登校の居場所」としてのフリースクールではなく、コミュニケーション・トレーニングや、学習プログラム等の支援についても、今後より一層工夫していくことが求められる。
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