研究課題/領域番号 |
22530721
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
山岸 明子 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 教授 (40220248)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 縦断的研究 / 成人期女性 / 青年期 / IWM / 適応感 |
研究概要 |
22年度、23年度のデータの分析を進め、1)1994と2011年の2時点におけるIWM得点や対人的認知の得点差や相関-安定性・変動性についての分析(23年度データ N=40) 2)青年期に記述された生育史における他者との関係性のあり方(良好群・小問題群・問題群)と現在の対人関係や仕事との関連(22年度データ N=9)についての質的分析、3)2005年と2011年の面接において母親のとらえ方や母親との関係がどう変わったのか、また父親のとらえ方やその関係はどうか(23年度データ N=19)の検討 4)1994と2011年の2時点でのIWM得点や17年間での得点変化(高得点群・上昇群・下降群・低得点群・無変化群)と仕事への取組みとの関連の分析(23年度データ N=19)を行った。その結果以下のことが示された。 1)17年経ってもIWM得点や対人的認知の得点には比較的高い相関が見られ、IWM得点も1/3の者はほとんど変わっていなかった。2)良好群は仕事への志向が強い者が多く、小問題群は家庭を重視する生活、問題群は他者との出会いによって成人期のあり方が大きく変っていた。3)母親との関係は30代前半に比べて肯定的な認知が減少し、批判が多くなっていたが、父親に対しては親密性が増していた。4)青年期のIWM得点の高低と成人期の仕事への取り組みに関連が見られ、高得点、上昇群にやりがい感を感じている者が多い傾向が見られたが、仕事への取り組みには、成人期の状況要因も関与していた。 更に第3のコホート(1995-1997に質問紙調査実施)に配偶者のIWMや配偶者や子どもとの関係に関する項目をつけ加えた質問紙調査や生育の過程を記述してもらう質問紙調査を行った。また看護系の卒業生でなく、同世代の心理学科卒業生7名にも面接調査をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
22年度、23年度と2つのコホートに縦断的調査を行ったが、23年度までは資料の整理や面接のプロトコルの作成等に時間がかかり、収集したデータの分析は一部しか行えなかった。本年度はそれらのデータについて様々な観点から分析することができた。 ただし23年度の面接を用いた質的分析ははまだ始めたばかりであり、IWM得点の増減が大きかった者や母親認知が大きく変わった者、今までの調査で特徴があった者等が、その後どうなったか等についての詳細な質的は来年度に行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、まだ十分な分析ができていない23年度実施の面接プロトコルを用いた質的分析を中心に検討をすすめる。17年後のIWM得点の変化や生育史における他者との関係性のあり方と現在の状況(仕事への取組みや適応、母親との関係)との関連について分析し、特に大きな変化があった者や今までの調査で特徴があった者がその後どうなったかについて詳細な検討を行う。それらの成果や前年度の成果について学会発表を行い(ヨーロッパ発達心理学会、日本教育心理学会、日本発達心理学会)、論文化する。また平行して24年度のデータも分析すると共に、最終年度なので4年間の成果をまとめたいと考えている。
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