研究課題/領域番号 |
22530725
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研究機関 | 東京有明医療大学 |
研究代表者 |
山下 雅子 東京有明医療大学, 看護学部, 准教授 (20563513)
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研究分担者 |
羽生 和紀 日本大学, 文理学部, 教授 (00307787)
丹藤 克也 聖カタリナ大学, 人間健康福祉学部, 講師 (30455612)
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キーワード | 成人の発達障害 / ADHD / 記憶障害 / 認知心理学 |
研究概要 |
本研究は発達障害様の記憶障害等を訴える成人の認知処理の特徴について、現場の心理臨床家が当該成人において生じているであろうと仮定している諸内容と、認知・記憶心理学的なアプローチによる結果との整合性を検討することにより、発達障害様記憶障害の成り立ちや情報処理的メカニズムの解明に貢献することを目的としている。具体的には、認知心理学的実験結果と、臨床心理学的データを統合して分析し、臨床像とその背景にある個々人の記憶情報処理の特徴データとの統合を目指す。23年度の計画は、(1)Webによる研究対象者の募集継続、(2)研究対象者のデータ収集の開始、(3)健常者を対象とした実験・調査の準備、(4)文献研究(科学研究費による報告書を含む)および学会等での情報収集活動、であった。(1)については、研究対象者のうち、健常自覚として応募の参加者内に、実はADHD様の自覚症状があるにも関わらず、研究の有償ボランティアとしてではなく、自分は障害があるかどうかを確認するための参加希望が散見された。このようなケースによる非健常データの不必要な混入を防ぐために、23年度の途中からADHDについてのWebページと独立させた形で健常自覚の有償ボランティアの募集を再開した。(2)及び(3)については、引き続き、研究代表者、分担者、および大学院生が作業・分析等を分担しデータの収集を進めた。具体的には対象者の生活管理困難状況についてデータ、知能検査を用いての対象者の臨床心理学的・査定的な把握につながるデータ、いくつかの選ばれた認知心理学的実験(乱数形成課題、視覚探索課題、検索誘導性忘却課題、語彙流暢性課題)である。(4)については、記憶領域の学会参加等によって資料収集が行われた。上記の成果はまとめられ、24年度開催のいくつかの学会にエントリーし、かつ受理済である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展している。部分的には遅れがみられ、医療機関受診予定があると自己報告している注意欠陥多動性障害(ADHD)の自覚症状がある実験参加者群の資料収集の数の伸びが予定に至っていない(予定では20人、23年度終了現在6人)。この群には医療機関の受診と診断書コピーの提出をお願いしている。しかし、23年度が終了した現在、医療機関受診予定者の資料収集が遅れている。理由は2つ考えられる。1)医療機関の神経科・精神科において、成人の発達障害のための予約が取りにくく、初診に至るまでの待機期間が長い、2)医療機関受診予定があるということでの実験参加・謝金の発生であったが、なんらかの心理的・生活的理由により医療機関受診そのものを取りやめてしまった、というケースの発生がみられた。
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今後の研究の推進方策 |
統一された診断機関・医師(於:大学病院)との連携開始の遅延から、いくつかのクリニックにおいて、診断済み成人ADHD患者の研究参加有償ボランティアを募集する。また、本研究の次の段階の発展のための準備として、ADHD様症状を自覚する成人への認知記憶実験選定の妥当性について、再検討を加える。
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