研究概要 |
地域高齢者を対象として,音読・計算活動を中心とした認知リハビリテーションを実施した。 頻度は1週間に3回,これを半年間実施した。査定としては,前頭葉機能を査定するFAB,認知機能を査定するMMSEを実施した。また日常行動を評定するために,日常行動評定尺度を構成し,評定を求めた。調査の結果,抑制機能,認知機能ともに維持・改善する傾向がみられた。日常生活評価についても,複数の項目で変化が確認できた。これら点については,次年度以降も継続的に分析する予定である。 さらに,これまでの研究成果を基礎として,location-basedの抑制機能に焦点をあてて実験的な検討を行った。具体的実験手続きとして,刺激の提示に合わせて,左右の反応スイッチを押し分ける課題を用いた。刺激と反応が適合する条件(例えば,刺激が被験者からみて右側に提示されたら,右側の反応スイッチを押す条件:Compatible条件)と刺激と反応が適合しない条件(例えば,右側に刺激が提示されたら,右側への反応を抑えて,左側のスイッチを押す条件:Incompatible条件)を用いた。この課題は一般にはSRC課題と呼ばれるものであり,抑制機能をみる課題として使われている(例えば,Christ, White, Mandernach, & Keys, 2001)。この実験課題を用いて, 今回は「慣れ」と反応形態の違いを独立変数として,誤反応数や反応時間に与える影響を分析した。その結果については,現在分析中であり,平成23年度に学会発表する予定である。
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