本研究の初年度にあたる平成22年度は、(1)研究協力校の確保、(2)協力校との研究計画の策定、(3)教師を対象とした研修、(4)LTD話し合い学習法の実践、(5)協同の認識と学校適応に関する基礎調査の実施が大きな目的であった。(1)に関しては、太宰府市立太宰府東中学校区の1中2小と協力関係を結ぶことができ、本研究を推進する現場を確保することができた。(2)と(5)に関しては、3校との協議の結果、来年度(24年度)までの研究計画を策定することができ、それに従って本年3月から小学校5年生から中学校3年生までの全児童・生徒を対象とした調査が始まった。(3)に関しては、昨年9月から3校の教員を対象とした協同学習とLTD話し合い学習法の勉強会を、毎月1回開催した。参加者は毎回20名程度であった。また、当該中学校区を対象とした合同の研修会を8月に開催し、10月には太宰府東中学校において、太宰府市全体を対象とした公開の研修会を開催した。(4)に関しては、太宰府東小学校の5年生を対象に、LTD話し合い学習法を実践した。今回は、同じ児童を対象に、2学期と3学期の国語科目に導入し、LTDを繰り返し実践することの効果を検討した。実践にあたり、授業案と教材の作成をおこなった。この授業は学外にも公開し、他市からの参観者が23年度にLTDを実践することになり、その準備に向けた検討会を行った。 以上のように22年度に計画した内容は着実に展開している。特に、一つの中学校区を単位とした取組が実現したことは、大きな成果である。協同学習やLTDを中心とした活動性の高い授業づくりを通して、読解力の育成に向けての授業づくりの基盤ができたと評価している。
|