研究課題/領域番号 |
22530730
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
安永 悟 久留米大学, 文学部, 教授 (60182341)
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キーワード | 協同学習 / LTD話し合い学習法 / PISA型読解力 / 授業づくり / 小中連携 |
研究概要 |
LTD話し合い学習法を学校現場で実践するためには、実践を行う教師のみならず、学校全体として協同学習やLTD学習法の有効性を理解してもらう必要がある。そのために、前年度に引き続き、研究協力校において校内研修会を開催した。また、より専門的な研修機会を提供するために、本務校(久留米大学)において定期的に、授業づくり研究会を開催した。 LTD話し合い学習法を小学校高学年において実践した。その基本的な方法は須藤・安永(2011)において提唱された分割型LTDに基づいている。科目は国語科(説明文)が中心であった。実践記録の分析をすすめているところであるが、期待する効果がえられている。また、LTD学習法の中核をなす「関連づけ」を積極的に導入した授業づくりを行い、成果を得ている。 これらの活動を通して、学校現場に協同学習やLTD話し合い学習法という新しい指導法を導入する際の留意点が徐々に明らかになってきている。なかでも、教師の教授学習観の変更と、同僚性の確立が極めて重要である。これまでの研究を通して、より望ましいアプローチの方向性が確認できつつある。 学校の教師集団が協同教育やLTD学習法の有効性を実感し、同僚性を発揮して授業づくりに取り組むと子ども達にも大きな変化が生じる。教師集団がまとまって指導すれば、傾聴やミラーリングといった話し合いの基本技法を身につけ、シンク=ペア=シェアやラウンド=ロビンといった協同学習の基本技法を子ども達は短期間で使えるようになる。これらの技法がベースとなり、LTD話し合い学習法も導入が可能となる。LTDによる授業づくりには、上記のような事前準備が不可欠であることを再度確認でき、具体的な対処法も、研究活動を通して、明らかになりつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小学校高学年を対象としたLTD話し合い学習法による国語科の授業モデルを構築でき、実践することができた。その成果を研究論文として公刊することができた。また、LTD学習法そのものによる授業ではなく、LTDに含まれる「関連づけ」を中心に据えた授業づくりを展開しており、一定の成果を得ている。 本研究を遂行するためには、実践協力校の確保と現職教員の研修が必須となる。実践協力校は着実に増え、各校における研修および定期的な研究会の開催も継続できている。
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今後の研究の推進方策 |
LTD話し合い学習を用いた授業づくりを展開しているが、現在、国語科の説明文が中心となっている。国語科のなかでも物語文をもちいた授業づくりや、他の教科に対する応用をすすめる必要がある。実践協力校での研修会や、自主的な研究会の場などで検討する。 現在、テキスト情報を教材とした授業づくりが中心となっているが、今後、非テキスト情報の読解も視野に入れた研究を展開する。そのために、「看図作文」を用いた授業づくりと、LTD話し合い学習法を用いた授業づくりの融合を検討する。
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