本研究の目的は、協同学習の一技法であるLTD話し合い学習法を中核に据えた授業づくりを通して、PISA型読解力の育成をめざすことであった(認知面)。加えて、話し合いや仲間や協同などに関する認識の変化を検討することも目的とした(態度面)。なお、24年度は、本研究(三カ年計画)の最終年にあたり、その成果を広く公表することも計画した。 対象科目は小学校高学年の国語(説明文)がもともとの中心であったが、学校全体に協同学習を導入するという目的から最終的には、小学校および中学校の全学年・全教科も検討対象となった。また、特別支援学級を対象とした協同学習およびLTDの実践にも関与した。さらに、LTDを基盤とした論理的な言語技術を教える授業づくりを検証するために、大学および専門学校の初年次教育科目を活用して、実践研究を繰り返した。なお、小学校や中学校において、協同学習やLTDに基づく授業づくりを展開するためには、直接指導にあたる教師に対する研修が欠かせない。そのために、定期的な研究会を開催すると同時に、指導に当たった学校に対しては個別に研修を実施した。 研究成果は、それぞれの実践において若干異なるが、基本的には当初めざしていたPISA型読解力を含め、学力(認知面)の向上が期待できる結果が得られた。加えて、態度的側面の変化も確認された。これらの研究成果は、毎月、公開で開催している「授業づくり研究会」でも一部、報告・検討された。また、協同学習を基盤とした小中連携教育研究発表会(太宰府市立太宰府東中学校区、平成24年11月2日)にて、成果の一部が報告された。さらに、本研究を通して得られた知見をもとにLTD話し合い学習法の新しいテキストを作成中であり、実践研究論文を準備中である。 本研究を通して、協同に基づくLTDを基盤とした授業づくりが、小学校および中学校で有効であることが確認された。
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