研究課題/領域番号 |
22530737
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研究機関 | 京都教育大学 |
研究代表者 |
花田 里欧子 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (10418585)
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研究分担者 |
井上 雅史 山形大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (50390597)
古山 宣洋 国立情報学研究所, 准教授 (20333544)
入野 俊夫 和歌山大学, システム工学部, 教授 (20346331)
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キーワード | 臨床心理学 / 聴覚・音声学 / 認知科学 / 情報学 / 傾聴 / 対話齟齬 / うなずき / 短期療法/家族療法 |
研究概要 |
本研究の目的は、セラピスト-クライエント間の齟齬の生起とその解消にまつわる機構の解明を、「聴き方/聴かれ方」という聴くことにまつわる相互作用の観点から、臨床心理学、聴覚・音声学、認知科学、情報学の手法を組み合わせ用いることで、お互いの発話をうまく聴いたり、聴かれたりしていくための音声とうなずきの微細な関連性を解きほぐしていくことによりすすめることである。平成23年度は、前年度に開始した、1.臨床心理面接における対話データの整備、2.対話データのマルチモーダルな分析による知識発見、3.学習者への知識の還元と効果の検証、の一連の作業を継続・発展させた。具体的には、1.について、データ収集フィールドの拡大をはかり、教育現場のみならず医療現場でのデータを整備した。また、前年度に試行した収録プロセスを適宜修正し、より簡便なデータ収録体制の機材整備の改良をすすめた。2.について、セラピストとクライエントの発話や身振り(認知科学;古山)と聴き方/聴かれ方(聴覚・音声学;入野)の特徴量を、面接への影響や成否(臨床心理学;花田)の点から解釈し、知識化をすすめた(情報学;井上)。このなかで出されたひとつの知見として、カウンセリングが進行するということと、セラピスト-クライエント間の「聴き方/聴かれ方」ということの対応にかんする検討から、両者は必ずしも一軸に収束するものではなく、独立した軸としてとらえられる可能性が示唆された。3.について、学会や研究会で中間成果報告を行い、現時点での到達度の客観的評価を受けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.臨床心理面接における対話データの整備について、データ収集フィールドの拡大をはかり、教育現場のみならず医療現場でのデータを整備した。また、前年度に試行した収録プロセスを適宜修正し、より簡便なデータ収録体制の機材整備の改良をすすめた。以上により、データ整備は当初の計画以上に進展しており、それに対する、2.対話データのマルチモーダルな分析による知識発見の作業もあわせていっそうの進展をはかりたい。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、最終年度になるので、これまでに得られた知識を集約的に体系化する。学会・研究会等での発表に重点を移していくために,集中的に【対話研究会】を持ちつつ,国内外の学会発表により,他学者のレビューを受ける。その上で,臨床心理学他の主要な学術雑誌に研究成果を論文としてまとめる。
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