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2011 年度 実績報告書

瞑想に頼らない新しいマインドフルネスに基づく認知行動プログラムの提案と効果の検討

研究課題

研究課題/領域番号 22530746
研究機関琉球大学

研究代表者

伊藤 義徳  琉球大学, 教育学部, 准教授 (40367082)

キーワードmindfulness / self-compassion / 腑に落ちる理解 / 認知的柔軟性 / 自尊心 / 怒り
研究概要

本年度は,マインドフルネスの効果メカニズムを検討する実験研究2つと,マインドフルネストレーニングの効果をもたらす構成要素としてself-compassionに注目し,その概念を検討する研究を3つを行った。
マインドフルネスの効果メカニズムについては,前年度の研究を発展させ,「腑に落ちる理解」と認知的柔軟性との関連を検討した。認知的柔軟性が高いと「腑に落ちる理解」を得やすい,という仮説のものと,研究1では,認知的柔軟性が高い者と低い者を対象に,「腑に落ちる理解」の程度とそれが行動に及ぼす影響を検討した。研究2では,ホワイトノイズによって認知的柔軟性を低下させる操作が,「腑に落ちる理解」に及ぼす影響を検討した。2つの研究から,認知的柔軟性は必ずしも「腑に落ちる理解」をもたらす要因でなく,認知的柔軟性を低下させるとむしろ「腑に落ちる理解」を得やすいことが示された。ここで得られた理解は,「盲信」に近いものであると考えられた。
次に,Self-compassion (SC)については,(1)尺度作成,(2)Neff & Vonk(2009)の追試,(3)-構成概念妥当性に関する実験研究を行った。研究1は,Self Compassion Scale Short Form (Raes et al.,2011)の日本語版を作成した。これを用いて,研究2では,自尊心とSCの相互の影響を検討した。先行研究では自尊心はSCを統制すると精神健康との関連が消失したが,本研究では,怒りを除いてそうした効果は示されなかった。少なくとも怒りの鎮静に対しては,自尊心はSCを介して関連していることが示された。そこで研究3では,他者から拒絶される怒りに対する自尊心とSCの影響を実験的に検討した。その結果,通常怒りが喚起される場面においても,自尊心が低くSCが高い入は怒りの表出反応が見られないことが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究と比較して,内容に多少の違いはあるものの,研究を積み重ねていけている点で進展は見られているといえる。

今後の研究の推進方策

次年度は,当初の目的に向けて幾分軌道修正しながら,最終年度の介入研究に向けて準備を進めていきたい。理論やメカニズム研究に力を入れてきた傾向があるので,次年度は,実践場面で必要な情報を収集することを重視した研究を行う予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] 心理臨床TPOCS:「体験」を通してマインドフルネスを考えてみよう2012

    • 著者名/発表者名
      伊藤義徳
    • 雑誌名

      心理臨床の広場

      巻: 4 ページ: 42-43

  • [雑誌論文] 日本版メタ認知的気づき評定法の開発2011

    • 著者名/発表者名
      勝倉りえこ・伊藤義徳・根建金男・金築優
    • 雑誌名

      心身医学

      巻: 51 ページ: 821-830

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 慢性疼痛への認知行動療法:マインドフルネスに基づく集団認知行動療法における1症例2011

    • 著者名/発表者名
      伊藤義徳
    • 雑誌名

      Medical Rehabiritation

      巻: 138 ページ: 46-52

  • [学会発表] 自閉症スペクトラム特性の高い大学生を対象としたマインドフルネストレーニングの効果:共感性を媒介変数として2011

    • 著者名/発表者名
      久貝このみ・大隅友惠・伊藤義徳
    • 学会等名
      日本行動療法学会第37回大会
    • 発表場所
      飯田橋レインボービル
    • 年月日
      2011-11-28
  • [学会発表] マインドフルネストレーニングが攻撃性の低減に及ぼす効果:怒りの表出傾向を考慮に入れて2011

    • 著者名/発表者名
      富村盛聖・田代恭子・伊藤義徳
    • 学会等名
      日本行動療法学会第37回大会
    • 発表場所
      飯田橋レインボービル
    • 年月日
      2011-11-28
  • [学会発表] マインドフルネストレーニングが苦痛耐性課題に及ぼす影響:心理教育とエクササイズへの「納得度」の影響を重視して2011

    • 著者名/発表者名
      永田祐矢・久貝このみ・伊藤義徳
    • 学会等名
      日本行動療法学会第37回大会
    • 発表場所
      飯田橋レインボービル
    • 年月日
      2011-11-28
  • [学会発表] 抑うつの認知臨床心理学(1):抑うつを「やめられない」メカニズム2011

    • 著者名/発表者名
      伊藤義徳
    • 学会等名
      日本心理学会第75回大会
    • 発表場所
      日本大学
    • 年月日
      2011-09-17
  • [学会発表] スピリチュアリティと健康:スピリチュアリティが健康をもたらすメカニズム2011

    • 著者名/発表者名
      伊藤義徳
    • 学会等名
      日本健康心理学会第24回大会
    • 発表場所
      早稲田大学
    • 年月日
      2011-09-12

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公開日: 2013-06-26  

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