本研究では、臨床動作法の自己弛緩プロセスで生じる生理的変化と主観的体験との対応関係を明らかにすることを試みた。 その結果、自己弛緩練習が進行すると、動作実施者の弛緩の感知と実験協力者の弛緩の報告が一致してきた。また、筋電図上での筋電位の低下と実験協力者の弛緩の報告も一致してきており、これらから、動作法による自己弛緩の学習により、自己弛緩に対する気づきが高まってきていることが示唆された。 また、内省報告に基づき主体的な弛緩への取り組みがみられたグループと受け身的なグループとに分けて生理反応を比較すると、自律神経反応に差がみられ、前者は、課題進行に伴い、交感神経の活動が活発になっていった。このことから、動作法による弛緩状態は、課題解決に必要な活性レべルを維持しながらのリラックス状態である可能性が示唆された。
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