研究概要 |
インターネット・ストレス対処プログラム開発は学生相談における時空を越えた、費用対効果の高い予防活動を可能にする。本研究は研究1:インターネット利用のストレス自己診断尺度の開発および研究2:認知行動療法を用いたインターネット・ストレス対処プログラムの開発の2つの研究からなる。 22年度では、研究1の目的である同様のストレッサーを経験しても、その衝撃を緩和し、精神身体的健康の維持に重要な役割を果たすストレス耐性特性に関する自己診断の大学生向けの「インターネット用ストレス自己診断」を作成し、妥当性と信頼性を分析する第1回調査を大学生300名を対象に実施し、分析を開始した。この自己診断は、日本語版LOT-R(Nakano, 2004)の楽観主義10項目、日本語版APS-R完全主義質問表(Nakano, 2009)の23項日、菊池(1988)の社会的スキル尺度、日本語版セルフ・コントロール・スケジュール(SCS ; Nakano 1995)の25項日、日本語版HSCL(Nakano & Kitamura,2001)の54項日からなり、回答後結果とともにストレス対処の心理教育的内容も提示され、ストレスについての自分の特性を知るだけでなく、ストレス対処方法について学ぶこともできる。 さらに22年度では研究2の目的である「認知行動療法を用いたインターネット・ストレス対処プログラム」開発のためのインターネットプログラムを作成し、予備調査を行った。この予備調査結果から、22年度で作成したインターネット・ストレス対処プログラムについて分析し、本調査で用いる「インターネット・ストレス対処プログラム」への改良点を明確にした。「インターネット・ストレス対処プログラム」は、不快な感情を引き起こすマイナス思考を、現実的で柔軟な思考に変える認知の再構成(Beck, 1991 ; Persons, 1989)、Web画面による指示によりリラックスした状態を深めるリラックス・トレーニング(中野,1996, 2005 ; Suinn & Richardson, 1971)、自分を肯定的に見ることを訓練するセルフコントロールをインターネットで実行するプログラムである。
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