研究課題/領域番号 |
22530752
|
研究機関 | 跡見学園女子大学 |
研究代表者 |
中野 敬子 跡見学園女子大学, 文学部, 教授 (10326556)
|
キーワード | ストレス・マネジメント / 認知行動療法 / 精神的健康 / インターネット / ストレス自己診断 / ストレス耐性特性 / セルフコントロール |
研究概要 |
インターネット・ストレス対処プログラム開発は学生相談における時空を越えた、費用対効果の高い予防活動を可能にする。本研究は研究1:インターネット利用のストレス自己診断尺度の開発および研究2:認知行動療法を用いたインターネット・ストレス対処プログラムの開発の2つの研究からなる。 23年度では、研究1の目的である同様のストレッサーを経験しても、その衝撃を緩和し、精神身体的健康の維持に重要な役割を果たすストレス耐性特性を測定する自己診断の大学生向けの「インターネット・ストレス自己診断尺度」を開発、妥当性と信頼性についての分析を行った。Webストレスコーピング、Web楽観主義、Web完全主義、Web社会的興味、Webセルフコントロール、Web対人スキル、Web自己効力感、WebTypeA、Webストレッサーの各尺度の組み合わせからなる「インターネット・ストレス自己診断」に関する研究成果について、国内外の心理学専門誌への投稿のため、結果の処理および執筆活動を行った。 さらに、23年度には認知行動療法を基本にインターネットに適したストレス対処プログラムを改良、完成させ、本調査を実施した。3つの認知行動療法(Fuchs&Rehm,1977;中野,2005;Persons,1989)を組み合わせたインターネット・ストレス対処プログラムは、マイナス思考を適応的、現実的で柔軟な思考に変える、Web画面で実行する(1)認知の再構成、Web画面の指示により実行する(2)リラクセーション、良い出来事に注意を向け、自分を肯定的に見ること、自己強化を実行することをWeb画面上で訓練する(3)セルフコントロールからなり、Web画面上でフィードバックを受けることも出来る。時間空間を越えて実施可能で、コストの安いインターネット・ストレス対処プログラムの効果については統制群との比較において継続的に分析を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究1のストレス耐性特性を測定する自己診断の大学生向けの「インターネット・ストレス自己診断尺度」の開発は順調に進行している。研究2においては認知行動療法を基本にインターネットに適したストレス対処プログラムを22年度に試作し、23年度に改良、完成させた。22年度の予備研究のデータをもとにした改良に時間を要し、23年度でも改良を実施し、完成させて本調査に入るまでに計画よりも時間を要した。認知行動療法を用いたインターネット・ストレス対処プログラムの開発に関する研究2については、24年度も引き続きデータの分析および検証を行う必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
認知行動療法に基づくインターネット・ストレス対処プログラムの構成要素は、Web画面上で実行するマイナス思考を現実的で柔軟な思考に変える(1)認知の再構成、(2)リラクセーション、良い出来事に注意を向け、自分を肯定的に見ることを訓練する(3)セルフコントロールであり、プログラムの効果については、量的分析だけでなく質的分析も実行する予定である。合理的に実行するために新しいPCソフトを導入し、分析に要する時間の短縮を図り、プログラムの有効性に関する研究成果をまとめる予定である。
|