本研究は、学校コンサルテーションを促進する要因を多面的に解明することを目的とした。そのために、教師がコンサルタントから受けたサポートを測定する尺度の日本語版をRupard(2009)に基づいて開発し、教師がコンサルタントから受けたサポートに影響を及ぼす要因を明らかにすることを研究全体の具体的目標として設定した。 本年度は、研究の出発として学校コンサルテーションのソーシャルサポートとしての機能について先行研究を展望することにより考察した。その結果、1)従来の教師を対象としたソーシャルサポート研究では、サポートの送り手が校長等の管理職や同僚の教師に限定されており、また、サポートの内容が情緒的サポートと道具的サポートの2次元から構成されていること。2)学校コンサルタントからのサポートを扱った研究は日本においては見あたらず、海外においてもRupard(2009)により研究されている程度の現状であること、以上の二点が明らかとなった。 つぎに、Rupard(2009)が開発した学校コンサルテーション・サポート尺度(SCSS)を、原著者の許可を得た上で日本語に翻訳し、教師2名および学校コンサルタント2名が内容的妥当性について検討した。その結果、原尺度項目62項目のうち33項目のみが日本の現状に適合する可能性のあることが示された。そのため、これらの33項目から構成される尺度を日本語版SCSS尺度の原案とした。 次年度は、日本語版SCSS尺度の原案を用いて多数の教師に対して調査を実施し、その信頼性と妥当性について検討したい。
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