研究課題/領域番号 |
22530753
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研究機関 | 文教大学 |
研究代表者 |
谷島 弘仁 文教大学, 人間科学部, 教授 (20282311)
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キーワード | コンサルテーション / ソーシャルサポート / コンサルタント / 教師 / 評価 |
研究概要 |
本研究は、学校コンサルテーションを促進する要因を多面的に解明することを目的としている。 具体的には、第一に教師がコンサルタントから受けたサポートを測定する尺度をRupard(2009)に基づいて開発する。第二に、教師がコンサルタントに期待するサポート、コンサルタントから受けたサポートおよびコンサルテーションへの評価の関連性について因果モデルに基づき検討することが目的である。平成22年度は、Rupard(2009)が開発した学校コンサルテーション・サポート尺度(SCSS)を日本語に翻訳し複数の教師およびコンサルタントが内容的妥当性について検討した上で日本語版SCSS尺度の原案を作成した。 本年度は、前年度に作成した日本語版SCSS尺度を中学校教師に対して実施した。594名の中学校教師に日本語版SCSS尺度を含む質問紙を実施したところ、342名から有効な回答を得た(有効回答率57.58%)。以下、過去にコンサルテーションを受けたことのあると回答した236名のデータを分析対象とした。日本語版SCSS尺度の項目分析を行ったところ8項目に天井効果が認められたため、これらの項目を除外した。残った25項目に対して因子分析(最尤法、プロマックス回転)を行ったところ、2因子が得られた。第1因子は項目内容から道具的サポートと名づけた(10項目)。第2因子は情緒的サポートと名づけた(10項目)。第1因子のα係数は.93であり、第2因子のα係数は.94であった。併存的妥当性を検討するために、小林(2009)によって作成されたコンサルテーション有効感尺度との相関を検討したところ、道具的サポートとコンサルテーション有効感の相関係数は.74、情緒的サポートとコンサルテーション有効感の相関係数は.70であり、どちらも1%水準で有意であった。 以上の結果より、教師が認知する学校コンサルタントから受けたサポートは道具的サポートと情緒的サポートの2因子から構成されることが明らかとなった。また、これらのサポートを高く認知する教師ほどコンサルテーションへの有効感が高いことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、第一に教師がコンサルタントから受けたサポートを測定する尺度をRupard(2009)に基づいて開発する(日本語版SCSS尺度)。第二に、教師がコンサルタントに期待するサポート、コンサルタントから受けたサポートおよびコンサルテーションへの評価の関連性について因果モデルに基づき検討することを目的とした。平成22年度は尺度の日本語版の開発を行い、内容的妥当性の検討を行った。本年度は、中学校教師に対して日本語版SCSS尺度を含む質問紙調査を行い、日本語版SCSS尺度の信頼性と妥当性を検討した。これは計画通りの進度である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、第一に教師がコンサルタントから受けたサポートを測定する尺度をRupard(2009)に基づいて開発する(日本語版SCSS尺度)。第二に、教師がコンサルタントに期待するサポート、コンサルタントから受けたサポートおよびコンサルテーションへの評価の関連性について因果モデルに基づき検討することを目的としている。平成22年度と平成23年度に第一の目的である日本語版SCSS尺度の開発が完了したため、平成24年度は第二の目的である教師がコンサルタントに期待するサポート、コンサルタントから受けたサポートおよびコンサルテーションへの評価の関連性について因果モデルに基づき検討することを予定している。
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