研究課題/領域番号 |
22530755
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研究機関 | 聖徳大学 |
研究代表者 |
宮本 友弘 聖徳大学, 教職研究科, 准教授 (90280552)
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キーワード | 健康心理学 / 健康リテラシー / 批判的思考 / 誤った認識 / 学校健康教育 / 中学生 |
研究概要 |
昨年度の成果に基づき、次の研究を行った。 1 健康領域における「誤った認識」の形成過程の質的分析と仮説モデルの構築 (1)前年度から継続して実施している中学生を対象にしたインタビュー調査の質的分析から、健康領域における「誤った認識」には、一貫して正しくない(安定型の「誤った認識」)だけでなく、課題状況によっては正しかったり、誤りであったりするケース(不安定型の「誤った認識」)があることが新たに見出された。 (2)不安定型の「誤った認識」の存在を検証するために、高校1年生82名(中学3年間の保健学習が終了済みとするため高校1年生を対象にした)を対象に調査を行った。日本学校保健会の全国調査(2005)で使用された「心臓の位置」を同定する課題(多肢選択)を実施したところ、正答率は95.1%であったが、正しい位置のやや左にも選択肢を追加すると、正答率は19.5%と有意に低下した。また、「心臓マッサージ」で圧迫する部位の正答率と、先の課題の正答率の間には有意な関連性は認められなかった。このことから、(1)課題状況によって正誤が変動するとともに、(2)課題ごとに独立した概念として認識されている可能性が示唆された。以上の結果は、日本教育心理学会第54回総会で公表予定である。 (3)以上の結果を踏まえ、「誤った認識」の形成過程に関する仮説モデルの作成を行った。 2 健康領域における「批判的思考」測定尺度の開発 前年度に作成した健康領域固有の「批判的思考」の概念枠組みに基づき質問項目を作成し、中学生260名を対象に質問紙調査を実施した。その結果、当該健康情報の根拠を求めようとする「情報の信頼性確保」因子、及び、自己の健康知識に対する疑問・不安を解消しようとする「自己知識の不信解消」因子の2因子が見出された。また、それらの妥当性と信頼性の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査協力先の事情により、調査の実施が予定よりも遅れたこと、及び、収集されたデータの処理に予定よりも多くの時間を要したことによる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策としては、調査協力先との連携を強化し、データ収集の効率化を図る。また、データ処理のための時間をこれまでより多く確保するように努める。
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