研究概要 |
就学前の幼児を対象に,気質を基盤とした自己制御を反応的制御(報酬/罰への敏感性)と能動的制御(注意制御,抑制的制御)に分け,それら制御と養育者のしつけ方略,子どもの社会適応(問題行動,向社会的行動)との関連について縦断研究を通して明らかにすることが,本研究の目的である。 平成22年度は,質問紙調査に向けて,使用する尺度の選定や作成を行った。質問紙作成後に,幼稚園および保育園にて縦断研究への調査協力依頼を行い,調査する方法や結果の取り扱い等について説明した。同意を得た園に通う子どもの保護者に対しても同様に,調査説明と個人情報,結果に関する取り扱いについて文書で説明し,参加協力を得られた保護者に対して質問紙調査を行った。 平成23年2月までに実施した質問紙調査については,データを入力し,統計解析を行った。一時点での結果ではあるが,自己制御としつけ方略,子どもの問題行動(内在化,外在化問題)や向社会的行動との間に予想された結果が見出された。具体的には,反応的制御(報酬への敏感性)の高さと,厳しいしつけ(愛情の除去,体罰によるしつけなど)と外在化問題との関連,誘導的しつけと向社会的行動との関連がみられた。質問紙調査と並行して,今後の縦断研究実施に向け,より的確な計画を立てるために,文献研究を行った。社会適応の中でも道徳の発達に焦点を当てて,子どもの気質,しつけ方略との関連について,先行研究を調べ,今後の展望についてまとめ,研究紀要に発表した。 平成23年度も,さらに対象者の人数を増やし,調査結果をまとめ,公表するとともに,縦断研究実施に向け準備をしていく。
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