研究課題/領域番号 |
22530761
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
岩立 志津夫 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (80137885)
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研究分担者 |
新井 典子 日本女子大学, 人間社会学部, 学術研究員 (70570216)
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キーワード | タッチタイプ / 身体部位 / 母子関係 / タッチコミュニケーションプログラム / タッチ評定尺度 / 虐待予防 / 地域の子育て支援 / 多職種の協働 |
研究概要 |
平成23年度の研究計画:タッチ評定尺度の作成とタッチプログラムの臨床的実践 1研究1:主要な養育場面におけるタッチタイプと身体部位の関連 (1)研究目的:主要な養育場面における母親のタッチタイプと乳児の身体部位との関連を明らかにする。 (2)研究方法:4か月健診を受診した母親1000名に対しタッチ評定尺度を用いた質問紙調査を行った。 (3)研究結果と意義:母親が乳児のどこにどのようにタッチするか、その詳細は明らかになっていない。現在1000名の母親にアンケートを配布した。残り600名に配布予定である。養育場面毎に母親が頻繁にタッチする乳児の身体部位(ポジティブ部位)と稀にタッチする身体部位(ネガティブ部位)があると予想している。調査が終了次第(平成24年度6月終了予定)、分析を行っていく予定である。 2研究2:地域の子育て支援におけるタッチ・コミュニケーションプログラムの開発と実践 (1)研究目的:乳児をもつ母親に対して、タッチを用いたペアレントトレーニングを実施しその効果を検討する。 (2)研究方法:0歳から3歳をもつ母子38組(0歳前半クラス18組、0歳後半クラス10組、1~2歳クラス7組、3歳クラス4組)に対して、タッチ・コミュニケーションプログラムを実施した(全9回)。プログラムの前後で育児不安や抑うつ、親子関係尺度の質問紙調査を行った。 (3)研究結果と意義:平成23年度7月~9月には2クール目(0歳児対象)を、平成23年度11月~平成24年度3月には3クール目(0~3歳児対象)を実施した。現在3クール目が終了し事後面接を行っている。3クール目は、年齢別クラスを設定し幼児でも飽きないよう時間を短く設定した。幼児クラスのワークには、タッチを用いた叱り方やほめ方のロールプレイやリラクセーションを新たに導入した。今後、事後面接が終了次第、データ分析する予定である。母親からは、「叱るときやほめるときのタッチがよくわかった」等の感想が得られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1 研究1タッチ評定尺度の開発 昨年4月よりアンケート調査を開始し、既に1000部配布が済んでいる。今後予定数が1600部まで配布する予定である。4か月健診の一月の受診者数は約150名であるため、やや期間を要するもののおおむね順調に進んでいる 2 研究2タッチ・コミュニケーションプログラムの開発と実践 平成23年より3クールのプログラムを実施することが出来た。参加者から、非常に好評な感想をいただいた。特に3クール目の申込者は50名程度みられたため抽選とした。次クールへの実施に強い要望も多数あることや、保育スタッフの確保が順調に行えていることより、平成24年度には4クール目を実施する予定である。また、本プログラムと行政との協働が実現しつつある。平成23年度より大和市の後援事業に認定され、平成24年度から市の虐待予防事業の一環として、本プログラムが取り入れられることになった。平成24年度5月より、虐待予備軍の母親に対して、本プログラムを実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、新たに2つの研究を予定している。 第1に、タッチコミュニケーションの縦断的研究である。親子間のタッチコミュニケーションの実態を縦断的に検討していく。調査機関は病院に調査協力をお願いする予定であったが、調査協力が難しい現状があった。よって、保育園や幼稚園に研究協力をお願いする予定である。 第2に、潜在的児童虐待のスクリーニング尺度の作成である。平成22年度は、多職種を対象に虐待予防における気になる親子の視点に関して予備調査を実施した(平成24年3月日本発達心理学会にてポスター発表)。今後は、予備調査の結果をもとに、多職種の虐待予防における気になる親子の視点について大規模な調査を行っていく。調査フィールドとして考えているのは、児童相談所、市区町村、療育センター、保育園等である。今後は、研究協力が可能な機関をあたり、調査協力の依頼を行っていく予定である。
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