研究概要 |
研究1:親子間のタッチコミュニケーションの発達的変化の研究 【研究の目的】乳幼児期の親子間のタッチを用いたコミュニケーションパターンの変化を明らかにする。【実施研究の方法】関東の公立保育園に在籍する保護者1464名を対象に質問紙調査を行った(回収率58%)。質問項目は、タッチ評定尺度の一部を改変し、基本的な養育場面(遊び・寝かしつけ・泣き・叱る等)でのタッチ量とタッチタイプ、親の抑うつ、で構成した。【実施研究の結果と意義】現在データ解析の途中。子どもの成長に従い、親子間のタッチ量は減少する現象が確認された。また、叱る場面でのネガティブタッチは、子どもの成長に従い増加し、親の抑うつと叱る場面でのネガティブタッチに正の関連が予想される。タッチに関する発達研究が少ないので、資料としての意義がある。 研究2:虐待予防スクリーニング尺度の作成 【研究の目的】虐待予防スクリーニング尺度を作成する。【実施研究の方法】某市の虐待予防に従事する専門職6名を対象に、担当ケースについて虐待スクリーニング尺度を用いて評定してもらった。虐待スクリーニング尺度は、気になる親子の視点(麻生,2012)を参考に、育児困難感や虐待の程度、サポート、対人関能力等の32項目を設定し、5段階で評定するものである。各下位尺度の合計得点により、フローチャート式に、ケースの適切な支援案(個別支援、集団教室での支援、地域での見守りなど)に結び付くようになっている。【実施研究の結果と意義】対象者は、多忙によりケース評定の時間の確保が困難な状況にある。現在10名の評定データを得て、分析中である。今後は多機関に調査依頼をし、大規模に実施する必要がある。虐待予防の従事者が、虐待のスクリーニングだけでなく、その後のケースの適切な支援の方向性が把握できるような尺度に発展させていきたい。支援現場での資料が提供できる点が研究の意義である。
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