近年、交際中の男女関係における暴力、ハラスメント行為が大きな問題になっている。このハラスメント行為の中には、暴力などの身体的虐待や性行為の強要などの性的虐待、非難や暴言、行動の制限などの心理的虐待などの種類がある。家庭内における暴力行為、いわゆるドメスティックバイオレンスに関しては今まで多くの実証研究が行われてきたが、交際中の男女に関するいわゆるデートバイオレンスについては現在までほとんど研究が行われていない。そこで本研究では、大学生を対象として(1)デートバイオレンスについての実態を調査し、(2)その加害者の行動を分析分類し、(3)その特性や属性を分類ごとに明らかにするとともに、(4)加害行動ごとの対処方略を示す(5)最終的にはデートバイオレンスに対する防犯教育プログラムを作成する、ことを目的に研究を行っている。 昨年度は、予備調査としてデートバイオレンスの実態調査に用いるための質問紙を作成した。神奈川県の私立大学の大学生150名を対象としてデートバイオレンス尺度を実施し、その結果を因子分析し、下位因子を明らかにするとともに信頼性の高い尺度を作成した。下位尺度としては、身体的暴力に関する因子、言語的暴力に関する因子、経済的強要に関する因子、生活態度に段ずる強要行為に関する4因子であった。また、男性から女性へのハラスメントが全体の80%程度を占めるものの、女性から男性へのハラスメントも20%程度存在すること。デートバイオレンスの加害行動と被害行動にはある程度の相関があること、複数の交際相手からハラスメントを受ける連続的な被害行動がしばしばみられることなどが示された。これらの結果を基にして本年度はより大規模な調査を行うつもりである。
|