研究課題/領域番号 |
22530765
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
篠田 晴男 立正大学, 心理学部, 教授 (90235549)
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研究分担者 |
田村 英恵 立正大学, 心理学部, 講師 (70350353)
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キーワード | ニューロフィードバック / 行動制御 / 発達支援 / ADHD / セルフコントロール / 脳波 / 緩電位 / 注意機能 |
研究概要 |
本年度は、ニューロフィードバック(neurofeedback;NF)法の試行ならびに評価法の準備を中心に、作業をすすめた。 技術的な部分では、NFの試行と評価に必要な準備として、実施・評価システムの構築を進めた。今回、当初想定していた脳内の特定の関心領域の信号を直接フィードバックに用いるソフトウェアの導入が現時点で難しいことが、明らかになった。そのため、代替手段としてBio Graph Infinityを導入し、評価には、Brain Visionを使用して脳機能の変化を検証することとなり、導入ならびその稼働に一定の時間を要することとなった。この過程で、これまで実行機能の評価に用いてきた注意持続検査(IVACPT)を援用したNFの応用パッケージも提供され、併せて試行に着手した。一方で、評価のための多CH脳波計測の解析について、認知的葛藤課題下で適用が可能なことを確認した。さらに、質問紙の改訂作業も行った。 研究デザインの部分では、先行研究の課題を再検討するとともに、最新の研究の長所も検討し、特に評価手法に関する妥当性を確認することができた。最近の動向として、ここ5年間で、NFの治療効果に関する実証的な研究数は大きく増加し、その対象も、身体疾患も含め、さまざまな対象者へと拡大していた。特にADHD児・者を対象とした知見においては、一定規模の母集団を対象に、ランダム化デザインを適用した知見が注目された。QEEG、fMRIなど最新の脳機能画像研究の援用も身近なものとなり、ADHDのNFの治療効果の神経機序については詳細な議論が試みられていた。臨床心理学的見地からは、今後のNF適用に関し、1)トレーニング数、2)トレーナーとの関わり3)対象者の主観的評価等の問題があり、さらに他の援助技法との比較に際しても、慎重な検討が欠かせないことが理解された。
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