研究課題/領域番号 |
22530768
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研究機関 | 白梅学園大学 |
研究代表者 |
福丸 由佳 白梅学園大学, 子ども学部, 教授 (10334567)
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研究分担者 |
加茂 登志子 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (20186018)
安藤 智子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (90461821)
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キーワード | CARE / 親子関係 / 子育て支援 / 専門家支援 / 心理教育 / 里親 / コミュニケーション |
研究概要 |
虐待をはじめ、子どもの養育にかかわる問題が山積する中で、子育て支援の分野では未だ実証的な効果研究の不足や、子どもとかかわる専門家をその対象に含めた支援の充分でない現状、といった問題を背景に、本研究は心理教育的介入プログラムCAREの実践と効果測定、それに基づく改良を通して子育て中の親子関係を支えるという子育て支援の側面と、現場で日々子どもと接する専門家への支援の側面を兼ね備えつつ、併せてCAREの改良も図るというアクションリサーチを行っている。 昨年度は、通常のワークショップに加え、現場に出向いての専門家向け研修を10回程行った。特に、児相や養護施設などで、多様な背景を抱えた子どもとかかわる専門家向けの実践が増えており、そのニーズの高さを裏付けている。また、保育現場での実践が加わり、フォローアップを含めた実践の有効性についても検討した。里親に向けた実践と効果の検討については、大学の紀要論文にまとめている。 さらに、震災という大きな出来事の中で、長期的に有効な実践のあり方を検討するため、CARE-Japanという任意団体を設立し、HPの作成をはじめとする社会活動にも力を入れた。昨年度は理事会を数回開催し、組織としての活動や実践についても検討した。トレーナーを対象とした研究会も開催し、プログラムのより効果的な実践と普及のあり方についても工夫している。 また、1月にはシンシナティ子ども病院からCAREの開発者であるDr.B.Boatを講師として招聘し、専門家向け研修会を主催した。50名を超える専門家が参加し、子どもとの関係性構築に有効な理論と実践について学ぶ機会を得た。さらにこの機会に、関連する心理療法のPCITと協力して学術研究会を開催し、Dr.Boatによる講演会とシンポジウムを開催した。医療機関、施設、行政など多様な現場におけるCAREの実践とその課題についても積極的な議論が展開され、今後の効果的な実践研究のあり方についても検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多様な現場で、関係を築きにくい子どもと日々接する専門家を主な対象とした実践研究を行い、また、里親への支援としても結果をまとめて発表した。今年度は、里親支援プログラムの一環としてCAREを実施することや、専門家支援としての実践が予定されている。よりニーズの高い機関・対象を優先しているため、子育て支援の現場での実践は未だ十分ではないが、子どもとの関係づくりに資するプログラムとしての実践と普及を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、親向け・専門家向けの実践と効果検討を行っていくが、特に里親や施設職員など、支援のニーズの高い機関・対象からの実践要請が多いため、一般的な子育て支援現場や保育現場での実践とその効果の検討までなかなか手が届かない現状にある。また、全国からのワークショップ実施依頼も増えており、本務と調整を行いながらかなりタイトなスケジュールの状況にある。そのため年に1行っているトレーナー養成をしっかり行い、より多くのトレーナーによる実践体制を構築していくことが必要になっている。また、効果検討に有効と考えられる尺度の中には、日本語訳されたものの未だ標準化されていないものも含まれているため、これらの尺度を用いた検討が今後の課題となると考えられる。
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