研究概要 |
1) 精神疾患および発達障がいにおける樹木画の特徴の類型化の試みの分析対象としては、研究代表者の所属する心理教育相談センターでの初回面接等で得られた樹木画を用いることとしている。来談者の臨床データを(樹木画についてはスキャンをかけて、電子データ化して保存する)データベース化する作業にかかっている。しかし、臨床的データと樹木画をセットにした、いわばカルテのようなものを作成するのだが、そのデータベースのデザインは現在まだできていない。そのため,とりあえず,データをまずエクセルに取り込んでいるが、その作業は順調に進んでいる。データベースデザインは北海道大学の小野芳彦の協力をあおいでいる。 2) 本年度は、3回の研究会を開いた。研究会は、それぞれ、3ケースの樹木画について、検討を試みた。この3ケースは本大学院での卒後研修を兼ねた研究会(現役の大学院1、2回生と研究生および卒後の臨床心理士)で,検討したケースであり、それを臨床経験5年未満のもの、ベテラン臨床心理士、精神科医、宗教研究者などにより、検討をおこなった。その研究会は、すべて録音し、それを文章に立ち上げ、分析を継続しておこなっている。とくにその着目点やイメージ形成が、経験やそれぞれの立場で、どのように異なるかについて着目しながら、分析をおこなっている。分析方法はKJ法に習い、現在、臨床経験が長いほど、診断的、総括的になること、宗教研究者による指摘が、臨床心理士による分析と重なる部分が、あることなどがわかっている。2、3回目は、特に母子の樹木画に注目し、母子間の類似や相違について、その病理とともに検討した。母子両者の樹木画を取ることにより、子どもだけのものだけで、解釈するよりもより、家族力動が理解しやすくなることにより、子どもの病理がより明瞭に、理解できることが指摘され、本年度の日本心理臨床学会で発表することとなっている。
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