大学生女子のADHDに焦点を当て、成人用ADHDのチェックリストを作成し、BIS/BAS尺度を用いて、ADHDと報酬系の機能との関連を明らかにする。また、行動制御やワーキングメモリなどの実行機能を評価する課題を実験的に実施し、ADHD、報酬系機能、実行機能との関連を探る。さらに、ADHDに特徴的な時間管理のまずさや、不注意を取り上げ、大学において、ADHDの学生をどのように支援することが必要かを、修学支援、生活支援、就労支援の三側面から検討することを目的とした。 平成22年度では、青年期や成人ADHDに焦点を当て、ADHDに関する研究の概観を行った。その結果を、『成人ADHD(注意欠陥・多動性障害)研究とADHD学生の支援』(山下、2010)として報告した。内容としては、先行研究から示された成人ADHDの特徴、機能障害、治療について紹介した。また大学生のADHDに焦点を絞り、大学への適応との関連、先進的な支援を行っている大学の紹介や、わが国における現状を報告した。大学生のADHDの詐病の問題についても触れ、ADHD診断の問題点を挙げた。さらに、大学におけるADHDの学生へのアプローチについて案を提出した。 また、大学生女子を対象とした青年期ADHDの実態把握をするために、先行研究成果を参考にして、成人ADHDのチェックリストの作成を検討した。
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