研究課題/領域番号 |
22530784
|
研究機関 | 相模女子大学 |
研究代表者 |
齋藤 雅英 相模女子大学, 学芸学部, 准教授 (40339239)
|
キーワード | 催眠 / 催眠感受性 / 注意課題 / 記憶課題 / 被暗示性 / Gudjonsson / IAT |
研究概要 |
被催眠者に意図的に制御不可能な催眠尺度を作成するにあたり、特に記憶と注意の2つの認知機能に焦点を当てた。そこで、潜在記憶課題と注意課題を催眠下で実施する実験を行い、催眠下における課題遂行について整理・分析し、被催眠者による意図的制御不可能な尺度作成を行なう。 平成23年度の研究実施計画は、前年度の「潜在記憶課題の実験刺激の作成」と「注意課題の実験刺激の作成」を受け、「実験協力者の催眠感受性の確認」と「後催眠健忘暗示が催眠前に呈示された潜在記憶課題に与える影響に関する研究」を行なうことであった。平成24年度以降、個別の実験参加者に個別に催眠誘導を行い、課題と催眠との関連を検討するにあたり、催眠誘導が行いやすい実験参加者の確保を行なうため、ハーヴァード式集団催眠感受性検査を実施した。そして、選定した潜在記憶課題および注意課題と催眠との関連について実験心理学的手法により検討を行ない、これまでの催眠研究で指摘される催眠現象と関連が強く、催眠に対して高い感度を有する課題を選定した。 後催眠健忘暗示の実験に関しては、催眠感受性の高い実験協力者が得られなかったため、次年度の課題として持ち越された。 催眠感受性と意図的ではない反応から測定された被暗示性と権威主義的パーソナリティの関係について2つの実験を行った。花沢式催眠感受性テストとGudjonsson被暗示性スケールを用いた実験の結果は、第12回ヨーロッパ心理学会において「The relation of Hypnotic Susceptibility and Gudjonsson Suggestibility Scale」を発表した。また、潜在連合テスト(IAT)とハーヴァード式集団催眠感受性検査を用いて権威主義的パーソナリティとの関連について行った研究は、第57回日本催眠医学心理学会において「催眠感受性と権威主義との関連(2)」を発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに、催眠感受性と意図的ではない反応から測定された被暗示性と権威主義的パーソナリティの関係について2つの実験を行うことができた。そしてその結果を国際学会と国内の学会でそれぞれ発表することができたため、このような評価となった。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の課題の今後の推進方策として、(1)多人数の実験協力者を募り、ひとりでも多くのデータを取得することで催眠感受性の高い実験協力者を獲得する、(2)一定の成果をあげたIATと催眠感受性の関係について再実験やIAT課題を改良して実験を行い、催眠感受性と意図的ではない反応から測定された態度やパーソナリティとの関連を明らかにし、学術雑誌に投稿することで研究を推進していく。 そのための問題点としては、実験協力者に対してより丁寧な実験内容の説明や、協力要請を行っていくことである。そして、外部の研究者にも協力を要請しながら実験を行っていく。
|