研究課題
近年、かたちや色などの視覚的意識に相関した脳活動がヒトの視覚皮質で見つかっている。では、視覚的意識に呼応した活動は意識を伴わない活動からどのように生み出されるのだろうか?本研究は、この意識化過程解明の第一歩として、色と形の知覚の意識化過程の情報処理特性をfMRIによる脳機能測定によって明らかにすることを目的としている。具体的には、連続フラッシュ抑制という知覚現象を利用して、色縞刺激が意識に昇る時と昇らない時の脳活動を様々な色と空間周波数について比較して、意識の伝達関数と呼びうるものを多数の視覚野で測定・比較する。色と空間周波数の任意の組み合わせに対して網羅的に研究を進めるのは効率が悪い。そこでまず、研究初期は主として空間周波数次元に対象を絞って白黒縞刺激を用いた脳活動の測定と解析を行う。その後、色次元の検討を加えることとした。次年度である平成23年度では、2つの予備実験を行った。1つめは、実験系の確立に関するもので、初年度で確定した刺激布置を用いて、明暗縞刺激が意識に昇る時と昇らない時のfMRIのコントラスト応答関数を2名の被験者について測定した。解析の結果、比較的低いコントラストも含めて良好なコントラスト応答が導出できることが確認できた。今後、このデータを元に、本実験で使用する刺激コントラストを設定する予定である。2つめは視覚野の同定のためのものである。質感に特に関連すると思われる腹側の高次視覚皮質は従来のレチノトピー測定では同定が困難である。そこで、初年度に開発した受容野が大きい高次野でも通用する新たなレチノトピー測定法を用いた高次視覚野の同定を引き続き行った。
3: やや遅れている
下記2点が研究の遅れの主たる要因である。1)実験系の確立が予想以上に困難であった。2)MRIスキャナーの更新本年度、実験に使用していたMRIスキャナーの廃棄が決定し、その更新作業に伴う工事のため、予定したいたマシンタイムが確保できなかった。
実験に必須のMRIスキャナーの更新が主な原因で研究が遅延している。更新に伴う研究の遅延は3ヶ月程度(2012/3-5)を見越している。この程度の実験延期であれば、装置が新しくなり撮像時間が短縮されることを考えると、予定していた実験を全て行えると考えている。しかし、それ以上半年程度遅れた場合は、実験の一部中止や研究期間の延期も含めて、対応策を考える予定である。
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