本研究は,睡眠時間を制限する軽度断眠が睡眠のホメオスタシス調節機序を駆動し睡眠改善をもたらすかどうかを実験的に検討した。睡眠習慣の愁訴をもつ大学生を対象に睡眠制限法(Spielmanら,1987)に準拠して軽度断眠を操作する介入実験を行い,睡眠覚醒のサーカディアンリズムの改善を睡眠日誌とアクチグラフの分析により確認した。次に,就床時刻を通常より1~3時間遅らせた睡眠時間の制限条件下で脳波を記録し,早期の睡眠周期にて脳波δ帯域パワと徐波睡眠の増強を認めた。睡眠制限療法の開始期に導入される軽度断眠がホメオスタシス調節機序を強めるとする仮説を支持する結果と考えられる。
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