研究概要 |
まばたき(瞬目)は、目の乾燥を防ぐためにランダムな間隔で生じているのではなく、心理過程と密接に関連しながら生じている。瞬目時間分布による分析を行えば,刺激前および刺激処理中の瞬目抑制,処理終了に伴う瞬目発生の様子を可視化することができる。そのため,瞬目を非侵襲的システムにより瞬目記録・解析システムの開発を行うことが目的であった。 志堂寺は,OpenCVを用いた画像処理によるシステムの開発を目指した。そのシステムでは,最初にノートPCのモニタに映し出された顔画面の中から目の領域をマウスにより指定する。その後はテンプレートマッチングにより,多少の顔移動に対して追従することができた。目領域に対して,減色処理により最暗領域を抽出した後,モフォロジ処理によるノイズ除去を行い,最暗領域の輪郭線を抽出し,その高さを計測することで目の開き度を計測し,そのことによって瞬目を検出するシステムである,この成果は,日本心理学会第75回大会ワークショップ(2011)に招待され,話題提供された。 早見は,National Instruments Vision Assistantを用いて画像処理を行い,目を閉じた形にもっともパターンマッチングするものを瞬目として判定するようなシステムを開発した。この装置を用いると安価に瞬目解析が行えるのが特徴である。この成果は,日本心理学会第75回大会ワークショップ(2011)に招待され,話題提供された。 福田・松尾は,視覚探索課題中の瞬目発生の特徴について検討した。その結果,瞬目は,探索中に関連ある刺激を検出しても最終的な刺激を検出したとき起きやすいことを明らかにし,瞬目が選択的注意や情報処理過程と関連していることを示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ノートPCによる簡便な瞬目の検出システムが,二人の研究者によって開発された。今後そのどちらを採用するかが本年度の課題になる。一方,瞬目の発生の特徴についても,選択的注意や情報処理過程と関連していることが明らかにされ,瞬目が興味・関心を検出するための指標になることが示唆された。
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