1.研究の目的:朝型夜型という視点から、日本の学生に多い遅寝遅起きの夜型生活の改善のため、高照度光照射の導入を考える。臨床的には概日リズム睡眠障害の解決法に役立つ可能性がある。平成22年度は朝型夜型タイプの生理心理的機能を自律神経系の問題から解明するために、アンケート調査による2つの型の睡眠の違いを、さらに自律神経機能検査法として皮膚電気活動(EDA)を用い2つの型の差異を検討した。 2.アンケート調査:朝型・夜型質問紙、入眠感調査票、OSA睡眠調査票などで調査票を作成した。対象は男女大学生215名(うち有効回答190名)で、朝型46名、中間型62名、夜型82名であった。夜型は朝型より寝つきが悪い、目覚まし時計への依存が高い、寝起きが悪い、起床時刻が不規則、就寝時刻が不規則、休日前就寝時刻が遅いなどの特徴が見られた。夜型と朝型の睡眠と翌日の心理機能の違いが検討できた。 3.自律神経機能検査:上記質問紙調査に参加した2名(朝型と夜型各1名)に、前の晩からアクチグラフによる睡眠覚醒リズム、翌日10時から実験室で2時間おきに20分間の多相性睡眠潜時検査、その合間に自覚症状とパフォーマンス検査、EDAと心拍変動R-RインターバルをComplex Demodulation(CD)法による自律神経検査を実施した。朝型夜型の差異を検討する指標としてEDAは個人内の変動を見るのに優れているが、個々のデータを数値化して比較検討しにくい点が明らかとなった。 4.次年度へ課題:自律神経系はCD法の併用、リズム指標としての簡便な深部体温測定を加えて、それぞれ8名以上の参加者による朝型・夜型の群間の検討をする予定である。
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