• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

表情識別能力と視線行動の関連について

研究課題

研究課題/領域番号 22530804
研究機関比治山大学

研究代表者

吉田 弘司  比治山大学, 現代文化学部, 教授 (00243527)

キーワード表情の知覚 / 表情識別能力 / 視線行動 / 高齢者
研究概要

本研究は,表情識別能力の個人差を視線行動との関連において検討することを目的としている。
平成23年度研究では,まず,大学生参加者を用いて,筆者らが開発した検査課題を用いて表情識別能力を測定した。実験結果に対して因子分析を適用したところ,6基本表情に対する表情識別能力は,喜び表情に対する感受性と,喜び以外の表情(悲しみ,驚き,怒り,嫌悪,恐怖)に対する感受性の2つの因子から構成されることがわかった。また,検査課題で用いられた表情刺激を観察しているときの参加者の視線行動を記録し,目,鼻,口に対応する領域に対する注視時間との関連を調べたところ,喜び表情に対する感受性と視線行動との間には有意な関連性は認められないが,喜び以外の表情に対して敏感な参加者は,目に対する注視時間が長く,口に対する注視時間が短いことがわかった。
この結果は,喜び以外の表情認識が大きく障害される扁桃体損傷患者が,顔を観察するときに目に対して注意が向かないことや,喜び表情は他の表情に比べて顔の下半分の情報だけでも高い正答率をもつこと,加齢によって喜び以外の表情認識能力が低下する高齢者において,表情を観察するときに顔の下半分に注意が向きやすいことなどと整合する結果である。
そこで,平成23年度研究においてはさらに,高齢者が表情刺激を観察するときの視線行動を測定し,その特徴を探る実験を行った。実験の結果,高齢者は大学生参加者よりも目に対する注視時間が短く,口に対する注視時間が長い傾向をもつことがわかった。このほかの結果の詳細については,現時点ではまだ分析中である。
さらに平成23年度においては,同様に表情認識能力の障害が顕著に見られる自閉症スペクトラム障害をもつ幼児・児童を対象に,表情識別能力を定量的に測定する研究を実施中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は,おおむね計画どおりに進行中であるが,高齢者を対象に視線行動を調べる実験を行ったところ,高齢者においては大学生などの若者と比べて視線測定が不安定であり,特に視線が下方向を向いたときに瞼が瞳孔にかぶさってくるために,多くのケースでデータ欠落を生じることがわかった。有効データの取得率が10%台と低いため,今後は,高齢者についてより多くのデータを収集するよう計画中である。

今後の研究の推進方策

本研究では,自閉症スペクトラム障害児を対象とした研究も開始したところであるが,上の達成度評価で記述したように高齢者データの収集がまだ十分でないことから,補助期間内の研究においては,当面,高齢者で有効なデータを増やしていくことに集中して行うよう計画している。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 社会的相互作用の分析指標としての個人の表情感受性の定量的評価-高齢者研究から得られた知見を中心に-2012

    • 著者名/発表者名
      吉田弘司・熊田真宙
    • 雑誌名

      比治山大学大学院現代文化研究科附属心理相談センター年報

      巻: 7 ページ: 19-27

  • [学会発表] 表情に対する感受性の精密測定-社会的シグナルに対する新しい認知テストの開発-2011

    • 著者名/発表者名
      吉田弘司
    • 学会等名
      日本心理学会第75回大会,ワークショップ(WS098,現場に役立つ心理学(2))
    • 発表場所
      日本大学
    • 年月日
      2011-09-17
  • [学会発表] 表情認識の空間周波数特性について2011

    • 著者名/発表者名
      吉田弘司
    • 学会等名
      日本心理学会第75回大会
    • 発表場所
      日本大学
    • 年月日
      2011-09-17
  • [学会発表] 幼児の表情認識能力について2011

    • 著者名/発表者名
      梶田奈々子・冨士田有希子・吉田弘司
    • 学会等名
      日本心理学会第75回大会
    • 発表場所
      日本大学
    • 年月日
      2011-09-16

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi