研究課題
自由再生における環境的文脈依存効果については未解決の問題が多数存在する。本研究代表者らは様々な環境情報(場所,BGM,匂い,ビデオ)が自由再生にどのように影響するかを実験によって調べてきた。平成25年度は,①BGM文脈,②ビデオ文脈を用いて自由再生への効果を検証した。①BGM文脈について,これまで,漁田らは文脈依存効果が生じることを報告している。これらの研究は未知楽曲と既知楽曲の単純比較を行ったものである。しかし,未知楽曲は未知という点で一様であるが,既知楽曲の既知の度合いは多様と想定される。そこで,本研究は既知楽曲の中に2水準の熟知性を設定し,それぞれが文脈依存効果に与える影響を調べた。その結果,既知楽曲であっても,熟知性によって文脈依存効果が異なることを見いだした。②ビデオ文脈については2つの実験を行った。1つ目は,ビデオ文脈のどのような構成要素がビデオ文脈依存効果の大きさの原因になっているかについて調べた。ビデオ文脈を,聴覚情報と動きを伴った視覚情報との複合文脈という観点から捉え,これら2つの要素の効果について検討した。即ち,ビデオ文脈を音なし動画ビデオ文脈,音なし静止画像文脈と比較した。その結果,文脈の構成要素の違いに関わらず文脈依存効果が得られた。構成要素と文脈の異同との交互作用はなかった。2つ目は,マルチ文脈パライダムにおけるビデオ文脈の効果を対連合学習を使って調べた。漁田らは,これまで,単純場所文脈では異文脈反復優位,場所以外の要素を複合させると同文脈反復優位の結果が生じることを見いだしている。本実験では,ビデオ文脈は動く視覚情報と聴覚環境の複合文脈である。また,本実験では手がかり負荷の効果も調べた。実験の結果,同文脈反復優位となり,手掛かり負荷による差は見られなかった。以上の実験結果は学会で発表した。今後さらにデータを追加して,国際誌に投稿する。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Memory & Cognition
巻: 42 ページ: 421-433
10.3758/s13421-013-0370-1