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2011 年度 実績報告書

読解における意味の計算メカニズムについて

研究課題

研究課題/領域番号 22530807
研究機関地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)

研究代表者

伊集院 睦雄  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (00250192)

キーワード言語 / 読み / 読解 / 意味表象 / シミュレーション
研究概要

「読み」における読解,つまり文字からその語の意味を計算する過程には,文字表象から直接その意味表象を計算する過程と,文字表象からその語の音韻表象を経由して意味表象を計算する過程があり,両計算過程の寄与は用いられる表記により異なることが予想される.本研究では,日本語における漢字語と仮名語の読解における両計算過程の役割分担に関し,健常成人と認知症例を対象とする実験的アプローチと,コネクショニスト・モデルを用いたモデル論的アプローチにより検討することを目的とする.23年度は,1)文字から意味への直接計算過程のシミュレーションの再検討,および,2)認知症例の意味機能を測定する検査の改訂作業を行った.
【結果】
1)ビットマップで表現した文字表象から約2,000の特徴で表現された意味表象への直接計算過程のシミュレーションでは,漢字の方が仮名より計算効率は高いものの,文字と意味の対応に関する一貫性(Hino et al.,2011)の効果は認められなかった.しかも,Hinoらが算出した各学習単語における文字と意味との一貫性値と,本シミュレーションで得られた当該単語に対する反応時間との間に,有意な相関は認められなかった.本結果は,シミュレーション・モデルで認められた漢字語における計算効率の優位性が,文字と意味との一貫性に起因していない可能性を示唆する。
2)昨年度の意味機能を測定する検査において得点の低かった項目を入れ替え,同一の健常高齢者を対象に新しい刺激セットを実施した結果,入れ替えた刺激にほぼ正解でき,検査全体として天井効果を示す検査が出来上がった.一方,本検査を意味認知症例に実施した場合には,重症度に応じて得点が低下することから,本検査は意味障害を検出し,その障害の程度を測定する検査として概ね妥当であることが確認された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

平成22,23年度に,文字から意味を直接計算する過程(文字→意味)に注力し過ぎたため,文字から音韻を介して意味を計算する過程(文字→音韻→意味)をコンピュータに上に実装するには至らなかった.また,意味障害の程度を測定する検査の作成に手間取ったため,アルツハイマー型認知症や意味認知症の症例データの収集が遅れてしまった.

今後の研究の推進方策

早急に文字→音韻→意味の計算過程をコンピュータ上に実装し,意味の計算における文字→意味との役割分担を検討する.さらに,完成したモデルの破壊実験結果と意味障害を呈する症例データとの対応を観察し,モデルの妥当性を検証する.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 認知症スクリーニング・ツールにおける記憶課題の比較-Enhanced cued recall (ECR)の有効性に関する検討-2011

    • 著者名/発表者名
      伊集院睦雄, 本間昭, 川合嘉子, 今井幸充, 権藤恭之
    • 雑誌名

      老年精神医学雑誌

      巻: 22 ページ: 1062-1070

    • 査読あり
  • [学会発表] 文字と意味との対応に関する一貫性と意味計算効率-シミュレーション研究からの知見-2011

    • 著者名/発表者名
      伊集院睦雄, 日野泰志
    • 学会等名
      日本心理学会第75回大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011-09-15

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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