初年度の研究実施計画にそってハーバード・プロジェクト・ゼロを訪れ、ハワード・ガードナー教授、マーラ・クレチャウスキー氏、ベン・マルデル氏と会い、Making Learning Visibleプロジェクトにおける「学習の可視化」および「ドキュメンテーションの用い方」を調査した。ハーバード大学教育学大学院のガードナー教授には、プロジェクト・ゼロとイタリア、レッジョ・エミリア幼児学校との関連性、MLVの内容について質問を行った。クレチャウスキー氏、マルデル氏からは、ドキュメンテーションとポートフォリオの関連性について、実際に長年、中心的に関わった過程でのMLVの内容について調査し、プロジェクト・ゼロおよびレッジョ・エミリア関連の資料を収集した。 また、プロジェクト・ゼロが、実際にMLVの実践を行っているマサチューセッツ州Medfordにあるタフツ大学附属Eliot-Peason幼児学校を視察し、同校校長リー・キーナン氏にMLVの実践について質問を行い、Eliot-Peason幼児学校での、授業分析の手法を調査した。見えない学びの過程を具体的に「学習の可視化」する方法について、多様な評価方法と文脈による「可視化」といった意義のある調査研究となった。また、メトロポリタン美術館の教育部門Teacher Resource Center、およびMOMA近代美術館にて関連資料の収集を行った。以上、今回の調査で得たドキュメンテーションによる有効な「学習の可視化」の研究方法であり、図工・美術教育における授業研究の方法として応用できる点でも重要性が認められよう。
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