研究課題/領域番号 |
22530813
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
小玉 亮子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (50221958)
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キーワード | 家庭教育 / 消費社会 / 社会史 / 教育史 / ヴァイマル期 / ドイツ |
研究概要 |
H23年度は、H22年度に引き続き、先行研究及び理論的枠組みに関する調検討をおこなった。理論的枠組みに関しては、家庭教育と幼児教育の接点に消費文化があることを明らかにすることができた。これについて、平成23年度に刊行した論文「幼児教育をめぐるポリティクス」のなかで、幼児教育が普及していく過程でコマーシャリズムが非常に大きい役割を果たしたことを論じた。福祉的な幼児教育ではなく、教育を主眼においた幼児教育は、幼児教育商品を購入できる経済的余裕のある上層の家庭をターゲットにしたが、この階層こそが、家庭教育を主導した階層である。消費文化は、階層文化とむずびつき、家庭教育と幼児教育をリンクさせながら両者を推進したことを論じることができた。この点について、引き続き平成24年度も分析を進める予定である。 さらに、平成22年度に引き続き、資料調査を行った。従来検討対象と考えていた専門雑誌の記事のみならず、平成23年度からは、一般新聞、地方新聞などの記事もその対象とする可能性を検討した。平成23年8月から9月にかけて、ベルリンに訪問し、Staatsbibliothek zu Berlin Preussischer Kurturbesitzの雑誌閲覧室で、新聞等の記事の検討を行った。新聞記事は量が膨大なために資料収集には困難がともなうが、しかし、時代の流れや社会の動きの中における家庭教育の問題を考えるうえで、重要な資料となりうることが明らかになった。 平成24年度には、この成果を踏まえて、更に訪独し、ベルリンのみならずライプツィヒで資料調査をし、論文をまとめる予定にしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は、先行研究と理論的枠組みに関する調査検討に重点をおき、また、9月にドイツに訪問して、資料調査にあたったが、その際、専門誌以外の一般新聞や地方紙などのマスメディアの調査をあわせておこなうことができた。また、家庭教育と幼児教育の関係を視野に入れた論文を執筆し、学会誌に掲載することができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、先行研究および理論的枠組みの検討を行い、また、ドイツに訪れ資料調査をする予定としている。平成24年度はベルリンのみならず、ライプツィヒでの資料調査を予定している。
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